SUVブームは留まるところを知らず、国内外問わずあらゆるクラスに広まっている。折しも日本で扱うのにもちょうど良さそうなコンパクトクラスのSUVがダイハツとフォルクスワーゲンから登場した。そこで、最新コンパクトSUVがどこまで進化しているのか、この2台を通じて探ってみよう。




REPORT:ニューモデル速報編集部

 ダイハツから登場したロッキーは、今となっては希少とも言える5ナンバーサイズボディが与えられた。エンジンは1.0Lターボで、ボディはダイハツの新世代プラットフォーム、DNGAを採用する。姉妹車のトヨタ・ライズは2020年の1月&2月の登録台数No.1を記録しており、まさに大ヒットの真っ只中にある。

ダイハツ・ロッキー G 4WD。全長3995mm 全幅1695mm 全高1620mm。車両重量1050kg。最高出力98ps/6000rpm 最大トルク14.3kgm/2400-4000rpm。車両本体価格222万4200円。

 一方のフォルクスワーゲンT-Crossは、ポロをベースにしたコンパクトSUV。これまでもポロをベースにしたクロスオーバーモデルがクロスポロの名前で販売されていたが、T-Crossは専用設計としてよりSUVとしてのポテンシャルを磨き上げた。エンジンは奇しくもロッキーと同じ1.0Lターボエンジンを搭載する。ただ、ロッキーには4WDモデルの設定があるが、T-CrossはFFだけの設定だ。

フォルクスワーゲンT-Cross TSI 1st Plus。全長4115mm 全幅1780mm 全高1580mm。車両重量1270kg。最高出力116ps/5000-5500rpm 最大トルク20.4kgm/2000-3500rpm。車両本体価格335万9000円。

 インテリアに目を移すと、ロッキーはSUVらしい力強いカタチ。T-Crossは一連のVWのクルマに共通する洗練された仕上がりが特徴的だ。ロッキーはダイハツらしく豊富な収納を持ち、T-Crossはアンビエントライトで上質さを武器にする。

グッと持ち上げたシフトまわりが特徴のロッキー。ちなみにメーター表示を4種類から選べる機能も。

SUVテイスト控えめなT-Crossのインテリア。デザインパッケージを選ぶと内装色を選べる。

 SUVなら大荷物でお出かけ……というシチュエーションも多いが、ラゲッジの広さは2台とも優秀。どちらもボディサイズから想像する以上の広さを誇る。ロッキーはラゲッジボードを上下2段に動かして容量を稼ぐことが可能で、さらに大容量のアンダーボックスも備える。T-CROSSも同様にラゲッジボードの高さを変えて容量を増やせるほか、後席スライドを備えて一気にラゲッジ容量を拡大できるのが売りだ。

ロッキーはラゲッジボードを下段にセットすると、写真の状態から更に荷室高を125mm稼げる。その状態でラゲッジ容量は365l。さらにアンダーボックスが2WD車で80L、4WD車でも38Lもある。

T-Crossもロッキー同様ラゲッジボードを下段にして容量を稼げる。いちばんの特徴は後席を最大140mmスライドさせて、最大455lまでラゲッジ容量を広げられる事だ。

左が後席を最後端にした状態。右が最前端。最前端でも左右席なら辛うじて座ることはできる。


 最近注目が集まっているのが、前車追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)だが、これは両者ともに装備。しかも渋滞対応で前車が停車した場合でもちゃんとそれに合わせて止まってくれる。ただ、両車ともパーキングブレーキがレバー式なので、停車維持するために自分でブレーキを踏み続ける必要がある。そしてロッキーはこれに加えて車線中央維持機能が備わるのがアドバンテージ。それ以外の先進安全装備はほぼ拮抗していて、双方共に後退時の車両接近警告や、駐車時のステアリング操作アシストを備える。

ロッキーのステアリングスイッチ右側にACCの操作系が備わる。右下にはダイハツ車でお馴染みの「PWR」スイッチも。

T-CrossのACC操作系はステアリングスイッチ左側。下の銀のスイッチはオーディオボリュームのスイッチ。

 そして走りはどうか? ロッキーの走りはとにかく軽やか! エンジンのスペック自体はさほど驚くような数値ではないが、スッと動き出したところから自然なフィーリングで加速していく様は、ほぼ1tという車重の軽さが大きな武器になっている。一方T-Crossはより上級のVW車にも通じる剛性感あるしっかりした走りが印象的。高速域での安心感はさすが、という感じだ。

右足を軽く踏み込むだけでスムーズに速度を増していく軽やかさがロッキーの特長。

T-CrossはVW各車に共通する安定感ある走りが魅力。

 両車を通じて感じたのは、日常で取り回しやすい手頃なサイズ感、荷物もたっぷり積める使い勝手の良さ、1.0Lとは思えない走りに充実した安全装備の数々と、まさに「これ1台あれば何の不足もない」ということだ。初心者ドライバーから、何台も乗り継いだドライバーでも満足できる内容は、まさに新しいベーシックカーのカタチといっても過言ではないだろう。



情報提供元: MotorFan
記事名:「 コンパクトSUVは令和時代の新しいベーシックカーになる!?