今後、AIの導入や適用領域の拡大を進め、福島県内外のEVシェアカー事業者やバス事業者等へのシステム導入を推進していく。
EVのバッテリー残量(SOC:State of Charge)を、車両の利用予測等に基づき予測し、充電設備と合わせて設置したサービスゲートウェイを通して充電、放電時間を制御することで、以下を実現する。
1. EVへの再生可能エネルギー優先充電
EVのSOCに余裕がある場合、充電時間を太陽光発電の余剰電力が発生する時間にシフトし、EVに充電される再エネの利用率向上を図る。
2. 施設の電力需要抑制のためのEV充電時間の制御によるピーク制御とEVからの放電によるピークカット
施設の電力需要が高いピーク発生時間を予測し、充電時間をシフトすることにより、EV充電による電力需要のピーク制御を図る。また、SOCに余力がある場合は、EVから放電して施設の電力需要を抑制する。
3. 災害時(停電時)EVを用いた太陽光発電設備の再起動並びに同設備からEVへの充電
災害時(停電時)は太陽光発電所が停止し、施設内の設備が十分に利用できない状態となる。EVを用いて太陽光発電を復旧させることで、EVへの充電並びに施設内設備への給電が可能となる。
福島県内で太陽光発電事業を展開している会津電力の協力のもと、本システムの実証試験を行い、各機能の有効性を確認した。
1. 試験場所
会津電力 美里営業所:福島県大沼郡会津美里町冨川古屋敷3
2. 導入設備と試験内容
・試験用EV(日産LEAF)
SOC、 緯度・経度等の情報を取得し、 エネルギーマネジメントシステムへ連携
・サービスゲートウェイ、 充放電器(ニチコン社製 EVパワー・ステーション)
試験用車両への充電及び車両から施設へ給電するための放電機能を有する設備を導入し、 サービスゲートウェイを通じて遠隔からの制御が可能。
本試験で開発したEVエネルギーマネジメントシステムは、REXEVが神奈川県小田原市でテスト運用を実施しているEVカーシェアリング「eemo(イーモ)カーシェアリング」において導入される予定。また、2020年度はAIの導入や電気バスやスローモビリティ等のe-モビリティへ適用範囲の拡大を予定しており、再生可能エネルギーの有効活用や事業者への付加価値をさらに向上させ、交通プラットフォームとして福島県内外のEVシェアカーやバス事業者等へシステム導入を推進していく。