REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
公開映像の中にはヘレスのホームストレートを全開で走るシーンがある。たった5秒間に過ぎないのだが、その内の3秒間にはメーター部分が大きく映り込んでいた。 注目すると、ZX-25Rのデジタルメーターはゴールライン手前で間違いなく160 ㎞/hをマーク。その瞬間のエンジン回転数は17,500rpm を示していた。この時ミッションは5 速である。ちなみにアナログ表示の回転計はレッドゾーンが17,000rpm から、フルスケール20,500rpm まで刻まれている。 トップ6 速へシフトアップされるとレブカウンターは15,500rpm 弱を示しデジタルのスピードメーターは162 km/hへ。ここで直線シーンは終わってしまうのだが、4 気筒エンジンはまだまだ強かに伸び上がろうとしていたのである。 この伸びしろ次第で、ZX-25Rの実力の一つである最高速度が見えてくる。 先程のデータを基準に算出してみよう。レブカウンターの目盛りは1000rpm 刻み。目盛りの中間より僅かに下だったので15,500rpm “弱”と表現したが、6 速162 ㎞/h時のエンジン回転数を15,400rpm とすると、再びレッドゾーンへ突入すれば、179 ㎞/h。17,500rpm なら184 ㎞/h。さらに18,000rpm まで伸びれば189 ㎞/hである。 かつて4 メーカーから4 気筒250 が揃い踏みだった熱き時代も190 ㎞/hをオーバーするポテンシャルを誇っていたが、ZX-25Rが、そんなエキサイティングな性能に肉薄する事は間違いないのである。 余談ながら映像から流れる久々の4 気筒サウンドに耳を傾けると、かつてインプレッションしたZXR250の記憶が蘇ってくる。10,000rpm を超えてなお鋭さを増し、胸踊る小気味の良いフィーリング。どこまでも上昇を続ける伸びの良さが抜群だった事を鮮明に覚えている。 今回の映像と比較するとレッドゾーン近辺での咆哮や伸び具合の勢いに微妙な違いがあるように感じた。あくまで推測に過ぎないが新開発エンジンは、ショートストロークの度合いを若干控えめにされているような気がしたのである。あるいはクランクマスを(も)少しばかり重めな設定が選ばれているような雰囲気だ。 ZXR のボア・ストロークは49×33.1mmだったが、ZX-25Rは48,5×33.8mmあたりかもしれない。さらに言うと現在はインジェクションと点火を統合的に電子制御する時代。カワサキが誇る最先端テクノロジーを結集させた野心作であることは間違いなく、常用域での扱いやすさにも期待値は大きいのである。 カワサキファンならずも、胸を熱くして発売を心待ちにするユーザーは多いだろう。
エンジン種類:水冷4ストローク直(並)列4気筒 弁形式:DOHC 16バルブ(右サイドカムチェーン) 総排気量 :249cm³ 始動方式 :セルフスターター 燃料供給方式:フューエルインジェクション(電子制御式スロットル) 点火方式:ダイレクト点火 電子制御:パワーモードと連携するKTRC(カワサキ・トラクション・コントロール) トランスミッション形式:常噛6段リターン(KQS・クィックシフター付き) クラッチ形式:湿式多板(アシスト&スリッパークラッチ) ドライブスプロケット:15丁 ドリブンスプロケット:50丁 二次減速比:3.333(チェーン) フレーム形式:高張力鋼菅トレリス 懸架方式 : 前・テレスコピックSFF-BP(セパレート・ファンクション・フォーク-ビッグ・ピストン)ショーワ製 後・スイングアーム(ホリゾンタルバックリンク) タイヤ(前/後):ダンロップ製スポーツマックス タイヤサイズ(前/後):110/70R-17/150/60R-17 ブレーキ形式(前/後):シングルディスク(ラジアルマウント・対向4ピストン式モノブロックキャリパー)/ シングルディスク (ピンスライド式) 乗車定員:2名