代を経るごとに大きく重たくなるのは理解できる。サイズが広がればその分使う素材も増えるからだ。では視点を変えて同程度のフットプリント(全長×全幅)で昔のクルマと今のクルマを比べてみたらどうだろうか。それを調査したのが下のグラフである。
基準点として、現行のフォルクスワーゲン・ゴルフを採択した。いわゆる「ゴルフ8」の最軽量版で、1.5ℓのガソリンターボ仕様である。ちなみに全長4284mm×全幅1789m、重量帯は1315〜1380kgという具合だった(ドイツ仕様)。
そのゴルフに対して、全長4200mm代のクルマを拾い上げて横軸に全幅、縦軸に重量をプロットした。対象は50年前:1975年、25年前:1995年の市販車である。
グラフからは、50年前が比較的軽量狭幅のゾーンに各車がまとまって分布しているのに対し、25年前はクルマのバリエーションが広がりプロットした点が大きく散布しているのがわかる。とはいえ25年前のクルマ群にもボリュームゾーンは認められて、それは50年前からは右上にシフトしている。
ではそれらに対してゴルフはといえば、最軽量版である1315kg仕様をもってしても50年前/25年前のボリュームゾーンから大きく離れた「右上」にあり、やはり同程度フットプリントでの比較をもってしてもクルマは大きく重たくなってきたというのが理解できた。
これらの詳細な分析や、このほかにも「直列4気筒ガソリンエンジンの重量変遷」を調査分析している。
同号特集「軽量化の正体」では、クルマを軽くすることによるデメリットとそれを解決するための最新ソリューションに着目し、各社の最新事例を取材紹介している。軽くすればお金がかかる、剛性が保てない、意匠性が損なわれる——これらの問題にどのように対処しているのか、解決を図っているのかを掲載した。ぜひMFi162号をお手にとってご覧いただきたい。