いよいよ2020年、海外から大勢の人が集まる、東京オリンピックに向け、交通取り締まりが今後、さらに強化されることは間違いない。中でも、ドライバーのマナーの良し悪しが如実に露呈する、「横断歩道」等での歩行者妨害に対して、より一層、厳しい監視の目が光るというのは、先日、警察庁から発せられた通達にもある通り! 今まではほとんど見逃されていた違反だけに、ドライバーにとっては、まさに、「歩行者優先」の再認識が求められることになる!

警察庁が発した、全国都道府県警にはっぱをかける通達の中身、とは?

 この2/7、警察庁が全国の関連機関に発した「歩行者優先と正しい横断の徹底に向けた取組の強化について」という通達の骨子は以下の通り。




1.


<建前> 国内の交通事故死者数に占める歩行者の割合は欧米諸国に比べて高く、交通事故死者を更に減らすために、歩行中死者の割合を減らす対策が必要。また、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、運転者と歩行者双方に「歩行者優先」と「正しい横断」に関する基本的な交通ルールを定着させることが課題となっている。


<本音> 日本人より交通ルールの遵守に長けた外国人に、日本人の交通マナーの悪さを見られたら、交通を司っている日の丸警察の能力が疑われるので(恥ずかしいので)、今のうちに啓蒙しておこう。




2.


<建前>平成30年にも「信号機のない横断歩道における歩行者優先等を徹底させるための広報啓発・指導の強化について」という通達をしているが、その主旨を理解し、取り締まりを強化している県警等の歩行中死者の減少率は全国の減少率の比較して高くなっている。そこで、本気で取り組みを強化している都道府県警の取り組み方を参考に、総合的に減少率を上げていこう!


<本音>2年も前に通達してるのに、いまだに本気で取り組んでいない県警等は、効果を上げている県警等を見習ってちゃんとやりなさい。




 で、ちゃんとやってる県警等の取り組み事例が、けっこう面白い。(一部抜粋)


『山形県警等』:ロールプレイング形式の実践塾、本部交通指導課員による取り締まりの同行指導、取り締まり実績優秀者の積極的な賞揚


『栃木県警等』:運転免許センター内において、CMを繰り返し放映するほか、免許更新時講習では、チラシなどを活用してわかりやすくルールの周知と遵守を促進


『埼玉県警』:「歩行者ファースト路線」を指定したうえで各種街頭活動を展開して効果を検証し、その結果を全県にフィードバック


『愛知県警』:毎月11日を「横断歩道の日」と指定し、歩行者保護を呼びかける広報啓発、指導取り締まりの強化、横断歩道の道路標識表示の点検等を実施




 まさに、「がんばってください!」としかいいようがないが、確かに最近は、以前と比べると、歩行者のいる横断歩道でちゃんと一時停止をしているドライバーを多く見かけるようになった。ドライバーの間にも「歩行者優先」の心構えが、徐々にではあるが、浸透しているようだ。




 ところが、中には片側車線のクルマだけ止まって、反対車線のクルマが何食わぬ顔で通り過ぎていくという、摩訶不思議な場面にもよく遭遇するようになったというのも事実。歩行者は渡れないわ、止まってるクルマ側の車線は渋滞するわで、かえって交通の円滑を阻むという事態を招いている場合も多い。さらに、タイトルの写真のように、一時停止しているクルマを追い越して通過していく、ならずものまでいる始末(もはや犯罪!)。警察のみなさんも、「歩行者のいる横断歩道」は「赤信号」と同じであるということを、もっと徹底して教育するべきなのでは?

「横断歩道に限らず、道路を横断する歩行者」は「赤信号」と同じ!

横断歩道はもちろん、前後の5m区間は駐停車禁止だというのに、堂々と横断歩道の真上に駐車するクルマをよく見かける。駐めるほうも駐めるほうだが、見て見ぬふりをしているすぐ近くにある交番のおまわりさんの了見はいったいどうなっているのか?

まずは、道路交通法における「歩行者優先」に関する取り決めを、おさらいしておこう!

(横断歩道等における歩行者等の優先)


第三八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。




2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない。

 というわけで、我々ドライバーが、「歩行者優先」を遵守するにあたって、特に、横断歩道等を通過する際に課せられた義務は、以下の通り。


1. 明らかに前方を横断しようとしている歩行者や自転車がいない場合以外:横断歩道などの直前(停止線)で止まれるような速度で走行


2. 前方の横断歩道等を横断し、あるいは横断している歩行者や自転車がいる場合:当該横断歩道の直前(停止線)で一時停止


3. 横断歩道等の手前の直前で停止しているクルマがいる場合:停止しているクルマの前方に出る前に一時停止




 もちろん、これは横断歩道に限らず、「道路を横断している、あるいは横断しようとしている」歩行者等に対しても同じ。例え、「歩行者の横断禁止」場所であっても、不運にも歩行者を死傷に至らしめた場合は、ドライバーにもそれなりの罰が科せられることをお忘れなく。




 

たとえ、歩行者が交通違反を犯していても、あくまでも「歩行者」が「優先」なんです!

女性が横断中なのに一時停止もせずに前方を横切っていく箱バン。見た目の危険性はないにしても、実はこれでも違反なのだ。

 まず、認識してほしいのが、クルマによって人身事故を起こした場合は、よっぽど特殊なケースでない限り、ドライバー側が罪を免れることはないということ。お互いの過失割合(事故の当事者双方の責任の割合)において、ほぼ、クルマの過失割合の方が大きくなるのだ。




 では、横断歩道上での事故は、とにかく「歩行者優先」なのだからすべての場合において自動車100:0歩行者になるのかというと、実は、そうでもない。歩行者側に明らかな非がある時はは、場合によっては自動車30:70歩行者という場合もある。あくまでもケースバイケースだが、横断歩道上あるいは横断歩道付近で起こった人身事故で、自動車100:0歩行者になる基本的な例を挙げておくので、ぜひ、参考にしてほしい。それ以外では、例えば歩行者が信号が黄色の時に横断し始めた場合など、歩行者側にもほぼ、いくばくかの責任が科せられることを覚えておいて欲しい。




☆自動車100:0歩行者 


1.信号のある横断歩道上


・歩行者側:青 自動車側:赤(直進) 


・歩行者側:青 自動車側:青(右左折) 




2.信号のある横断歩道外


・歩行者側:青 自動車側:赤(直進)


・歩行者側:青 自動車側:青(右左折)




3.信号のない横断歩道上


・通常(自動車が歩行者を発見しにくい状況だった場合などを除く)

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情報提供元: MotorFan
記事名:「 「横断歩道等」の取り締まり強化通達、発令中! 横断歩道での人身事故、クルマと歩行者の過失割合って、必ず100 : 0なの?