いまはJスポーツカーと言っても、アキュラNSXはアメリカ製、トヨタ・スープラはオーストリア製と必ずしもMade in Japanではなくなっているが、それでもやはり日本の自動車メーカーのスポーツカーがどう受け入れられいるかは気になるところだ。
では、2019年のJスポーツカーの通信簿をお届けしよう。まずは、ミドル〜スーパースポーツ級だ。
ホンダが世界に誇るハイブリッドスーパーAWDミッドシップスポーツ、NSXの北米での販売台数は238台にとどまった。それでも前年が170台だったから販売は大幅に持ち直したと言える。ただし、現行NSXは北米でヒットしているとは言い難い。車両価格(MSRP)で15万7500ドル(約1700万円)は、日本での価格に比べたらやや低い設定だが、それでもポルシェ911が10万ドル以下から買えること(9万7400ドル〜)を考えると、割高と思われているのかもしれない。
さしものGT-Rも寄る年並みには勝てない。2019年の販売台数はわずか331台。月平均で30台を割り込んだ。次期GT-Rの登場が待たれるところだが……。
レクサスのフラッグシップクーペであるLC。こちらも前年が1979台だったのに対して1219台とセールスは振るわなかった。ちなみに、北米で販売されているLCはほぼ全数がLC500。つまり5.0ℓV8エンジン搭載モデルだ。ハイブリッドのLC500hの販売台数は、2019年はわずか37台だった。
アメリカ人が「Zカー」として長年愛してくれている日産Z(フェアレディZ)。こちらも現行モデルはモデルライフは末期。並いるライバルたちに太刀打ちできる状況ではないが、それでも2000台以上うれているのは、やはりZだからか。前年は3468台だった。
ご存知の通りトヨタ・スープラは、BMW Z4と同じシャシーを使い、オーストリア・グラーツのマグナ・シュタイヤーの工場で製造されている。スープラの北米販売がスタートしたのは2019年7月。したがって6ヵ月で2884台を売り上げたことになる。月平均は480台。これはおそらく北米への割当台数とイコールだろう。
ちなみに、BMW Z4は2941台を売り上げた。こちらは3月から販売がスタートしているから、事実上スープラの方がよく売れている。
2019年12月 スープラ:404台
BMW Z4:233台
である。
本サイトでもたびたび取り上げてきたが、北米でもっとも売れているスポーツカーは、圧倒的にフォード・マスタングである。
そしてシボレー・コルベットである。
ここでは、アメリカ勢はちょっと横に置いておいて、欧州製スポーツカーの2019年北米販売台数を紹介しておこう。
となる。ポルシェ911の盤石ぶりがよくわかる。2020年通しでスープラが売れ続ければポルシェ718シリーズを上回る可能性がある。となれば、正真正銘のヒット作と言って良いだろう。
ライト級のJスポーツカーの2019年のセールスはどうだったか?
まずは、
トヨタ86/スバルBRZの合計5732台だった。前年が7980台だから前年から28%ダウンという厳しい数字になってしまったが、こちらもモデルライフで末期に入っている(はず)。それぞれの販売台数は
トヨタ86:3398台(前年4146台)
スバルBRZ:2334台(前年3834台)
マツダMX-5も前年の8971台からダウンしてしまった。
北米でもモデルライフ最終段階を迎えているWRXシリーズ。北米のWRXは日本仕様のWRX S4とほぼ同じ、北米のWRX STIは2.5ℓ水平対向4気筒ターボ(EJ25)を積む。
こうして北米でのJスポーツカーの販売台数を見てみると、あまり良い成績になっていないことがわかる。スープラが奮闘しているが、あとはマツダMX-5が安定した人気があるくらい。残りはほぼモデル末期という有様だ。CASEがMaaSに対応する、厳しい燃費規制に対する開発で、所詮少量しか売れないスポーツカーに避けるリソースが限られているのはわかるが、それは世界中の自動車メーカー共通の課題。それをクリアした上で、魅力的なスポーツカーが出てきてくれることを、期待したい。