CBR1000RR-Rには最新の電子制御が用いられているが、今回はこの電子制御に関して紹介していく。電子制御により、ハイパワーのCBR1000RR-Rを一般ライダーでも楽しめるようにしているのだが、その電子制御はどのようなものなのだろうか。合わせて後半ではCBR1000RRシリーズの今昔についても触れていく。




REPORT●山下博央(YAMASHITA Hirohisa)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)/株式会社ホンダモーターサイクルジャパン

ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP/CBR1000RR-R FIREBLADE

電子制御で自分仕様のRR-Rが完成する

IMU(慣性センサー)はバイク以外ではドローンやロボットなどにも使われ、姿勢制御などに活用されている。RR-RはBOSCH製6軸IMUが搭載され前後、左右、上下の3軸方向の加速度と、ロール、ピッチ、ヨーの3軸方向の角速度を検出し、ECUで演算を行いエンジンや車体制御を行う。

 いまや大排気量車を中心に電子制御の装備はあたり前の時代となっているが、ハイパワーのCBR1000RR-R(以下RR-R)も前モデルのCBR1000RRの電子制御技術をさらに進化させ、より意思に沿った車体挙動と車体情報の提供につなげることでライダーをサポートしている。




 RR-Rではスロットルバイワイヤシステム(TBW)が採用されているほか、BOSCH(ボッシュ)製6軸IMUが採用され、従来よりも3次元における車体姿勢の推定制度を進化させ車体姿勢制御のシステムを進化させている。その制御システムはスロットル操作に対する出力特性を切り替えるパワーセレクターをはじめ、トラクションコントロールのHondaセレクタブルコントロール(HSTC)、セレクタブルエンジンブレーキ、ウイリー挙動緩和制御、ステアリングダンパーの制御となるHonda Electronic Steering Damper(HESD)、クイックシフター、ABS、スタートモード制御など多彩となる。また、RR-R SPにはこれらに加えてOHLINS第2世代Smart ECがあり、前後サスペンションの減衰特性を走行条件に応じて可変させることができる。




 さて、ここまで列記すると多彩な制御となったことで複雑になったと思われるかもしれないが、これらの制御レベルはライディングモードの3種類のモードで一括で切り替えられるようになっているので、まずはそれを基本として走行状況に合わせたモードを選ぶことができる。そして、それぞれの制御は個別設定できるようになっているので、車両や走行状況に合わせて一部の制御を変更することも可能となっている。操作はフルカラーのTFTメーターと左ハンドルに備わるスイッチで切り替えが可能となっているので、ライディングモードを基本として、自分に合わせた制御設定が可能となっている。

 RR-Rではこれらの制御を行っているが、基本となるのは「ライディングモード」で、上記の制御項目を一括で切り替えられる3種類のモードが備わっている。また、制御はそれぞれ個別設定も可能だ。

 フルカラーTFTメーターは5インチに大型化。さらに高解像度化が図られている。メーター表示はアナログタイプの画面やタコメーターの配置を中心とした複数の中から選択が可能だ。

 これはライディングモードの個別設定画面で、表示画面のPはパワーセレクターで5段階から、TはトラクションコントロールのHSTCで9段階から、Wはウイリー挙動緩和で3段階から、そしてEBはセレクタブルエンジンブレーキで3段階の調整が可能だ。

モードの切り替えや各制御の個別設定は左側ハンドルスイッチで行う。スイッチボックス左上のモードボタンと右横の上下左右のボタンなどを使って調整を行うのだ。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 ホンダCBR1000RR-Rの電子制御! ここだけ見ても進化っぷりが凄い。