鉄スクーターの代表車種であるラビット。前回ラビットとはどのようなバイクなのかを、メーカーである富士産業から富士重工業、そしてSUBARUに変遷する過程も交えて紹介した。では今、50年以上も前に生産されたラビットを手に入れると、どのような事態が待ち受けているのだろう。ここでは筆者の実体験を元にご紹介しよう。

手に入れたばかりの頃のラビット。同じラビットに見えないくらい汚い。さて、どうしよう。

 前回の記事をご覧になって、「ラビットに乗ってみたいな」と思ってもらえたら幸いだ。同士が増えることは喜ばしいこと。そう、前回紹介した写真の最終型は筆者自ら乗っているラビットなのだ。


 ただ、手に入れてから乗り出すまで、2年もの時間がかかってしまった。なんでそうなったのかと言うと、上の写真をご覧になって想像できるかと思う。そう、汚いのだ。そして長年、納屋の軒先で眠っていた堂々たる不動車。ナンバーを取る前に動くようにしなければならないし、どうせ乗るなら一度キレイにしてから乗りたいと思うのは人情。




 ラビットのボディは鉄でできていて、ビスを緩めれば各パネルごとに分解できる。だったら、動けるようにするのと同時に、積年の汚れを落としてやろうじゃないか、そう考えたのだ。でも、ここからが地獄の始まりだった。

サイドカウルを外すとエンジンが現れる。と言うか汚い。オイルが泥を吸って固形化していた。

クラッチのないトルコンによる無段変速のトルコンオイルタンク。オイルが入っているように見える。

 まずは動くのかどうか確認するにはバッテリーを繋げてセルを回さなければならない。ただ、その前に長年不動だったバイクなら、まずはキャブレターを掃除するのが鉄則。そこでサイドのカウルを外してエンジンとご対面してみた。それが上の写真だ。見事に汚い、というか、こんな状態で走るわけがないと思わせる状態。




 そしてプラスチックの部品がトルコンのオイルタンク。ここを見ると内部にオイルが入っているかのように線が見える。当初はこれに騙されてしまったのだが、オイルなんて入っているはずもなく、漏れたオイルがエンジンやミッションケースに泥汚れを作っていたのだ。

トルコンオイルタンクの奥に手を伸ばすとキャブレターにアクセスできる。

固着していたキャブレターにショックを与えて、なんとか外すことに成功した。

 トルコンのオイルタンクを見て、ミッション側は大丈夫と早合点したため、とりあえずキャブレターを外した。ここも見事に泥汚れが堆積していたので、外観だけでなく内部まで何度も清掃。これで大丈夫だろうと思えるまで清掃したら、燃料コックを外して同じく清掃。うれしいことに、ラビットの補修部品や整備ノウハウは、インターネットにたくさんある。筆者もネットの情報を参考にして分解・清掃を行った。

燃料コックを清掃して再びボディに組み付けた。

 燃料コックの内部にはコルクが使われていたりする。そうした消耗部品たちはラビットハウスというショップから購入している。ラビットハウスのホームページ(http://www.ne.jp/asahi/rabbit-house/yamada/)には整備やレストアの情報が豊富に紹介されているので、同じくラビットのレストアを考えているなら参考にしていただきたい。


 長くなってしまったので、この続きは次回を参照いただきたい。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 鉄スクーター代表 ラビットってどんなバイク?