REPORT●安藤 眞(ANDO Makoto)
PHOTO●スバル/編集部
※本稿は2017年7月発売の「新型WRX STIのすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様が現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。
STIにオプションで用意されたレカロ・シートは最新モデルであり、シート側面にはその証である同社の最新ロゴのタグが付与されている。右は先代と比較した体圧分布図。荷重の分散が適正化されている(写真は北米仕様、日本仕様はパワーシートのみ)。
WRX S4エンジン
型式・種類FA20:(FA20DIT)
種類・気筒数:水平対向4気筒
弁機構:2.0ℓ DOHC 16バルブ デュアルAVCS直噴ターボ“DIT”
排気量(㏄):1998
ボア×ストローク(㎜):86.0×86.0
圧縮比:10.6
最高出力[ネット](kW[㎰]/rpm):221[300]/5600
最大トルク[ネット](N・m[㎏m]/rpm):400[40.8]/2000-4800
燃料供給装置:筒内直接燃料噴射装置
燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量(ℓ):60
1989年に登場したスバルを代表するエンジンだが、度重なる近代化改修で現在では「第三世代EJ」と俗称されるまったく別物に進化している。実に200以上の仕様があるため、ファンはEJ20に燃料配給装置区分の記号や数字を加えて区別するが、これに則ると今回のSTI搭載機は「EJ207」、さらに細かく定義すると「EJ207V9(V=Version)」となる。ショートストロークならではの高回転域でのシャープさが魅力だが、初心者には十分な性能を引き出すことは難しい。EJ207は吸排気に可変バルタイ機構(DUAL AVCS)を備え、大型インタークーラー付きツインスクロールターボで強大なパワーを発揮する最強モデルだ(※スバルの公表型式はEJ20のみ)。
WRX STIエンジン
型式・種類:EJ20
種類・気筒数:水平対向4気筒
弁機構:2.0ℓ DOHC 16バルブ デュアルAVCSツインスクロールターボ
排気量(㏄):1994
ボア×ストローク(㎜):92.0×75.0
圧縮比:8.0
最高出力[ネット](kW[㎰]/rpm):227[308]/6400
最大トルク[ネット](N・m[㎏m]/rpm):422[43.0]/4400
燃料供給装置:EGI(電子制御燃料噴射装置:マルチポイント・インジェクション)
燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量(ℓ):60
プーリー駆動にチェーンタイプの金属ベルトを使用したスバル独自のCVTがリニアトロニック。従来の金属ベルトよりも巻き掛け径を小さくすることでユニット全体の小型化を実現し、伝達ロスも抑えられている。中容量(TR580型)と高容量(TR690型)の2タイプがあるが、S4に使われるのはスポーツリニアトロニックと呼ばれる高容量タイプの改良型でSI-DRIVEの「I」もしくは「S」を選択した場合、アクセル低開度時ではCVT本来の無段変速、高開度時では6速のステップ変速となる制御を採用、CVTを意識させないリニアな走りを楽しめるものとなっている。また「S#」を選択すると8速のステップ変速に変更され、加速性能を重視したクロスレシオとなる。
従来の機械締結を使った差動制御から、トルクカムを廃止し一体型のサンギヤを新設するとともに全域を電子制御化した。従来より最適な差動制限を可能とし、コーナーの曲がり始めの回頭性を向上させてドライバーの思い通りに素直に曲がるハンドリングを実現した。
全車においてサスペンションのチューニングを見直している。ダンパー、コイルばね、スタビライザーのセッティングの最適化により、さらに優れたハンドリングと減衰の効いたフラットな乗り心地を両立した。また、各車種の走りのキャラクターの差異を明確化している。
STIには従来の17インチ/2ピースに替え、18インチ/モノブロックの新型ブレンボ製ブレーキを装着。リヤは従来同様に2POTだが、フロントは4POTから6POTとなる。また、ブレーキローターもベンチレーテッドからドリルド・ベンチレーテッドへ。高剛性のモノブロックキャリパーとドリルド・ローターディスクによる熱容量アップで制動力や耐フェード性が大幅に向上している。
STIタイプSには従来の245/40R18に替えて245/35R19サイズのタイヤ(横浜ゴム製アドバンスポーツV105S)を採用。タイヤの低扁平化によりコーナリングの限界性能を高め、優れた初期応答性を実現した。専用ホイールはシャープな直線基調のスポークにより大きさを強調、力強さとパフォーマンスを感じさせるデザインとなっている。