PHOTO:星野耕作(HOSHINO Kosaku)
往年のZ1やZ2に憧れるマニアは多い。彼らにとりZ900RSは現代版Z1なのだろう。大注目のモデルで足つき性を試してみると、これが意外に「何とかなる」と思える結果だった。まず両足同時に足を下ろすと、若干膝が曲がるものの爪先が着地。アップ目なハンドルなので、手を伸ばした位置にグリップがあり、ポジションは極めて自然。だから爪先立ちでも不安感が少ない。お尻をズラせば片足はベッタリ着地した。車両重量は215kgで、この排気量を考えれば常識的なものだ。
Ninjaといえばカワサキを代表するブランド。その最大排気量モデルは1441cc並列4気筒エンジンを搭載するZX-14R。海外向けモデルだが、憧れる人は多いだろう。シート高は800mmと意外に低い。だが、外国人向けの車体は非常に大柄。シートからハンドルが遠く離れ、ライディング中ならいざ知らず、一回止まると地獄を見るだろう。両足はツンツン・バレリーナで、お尻をズラしても片足の土踏まずまでしか着地しない。ゴメンなさい、無理です。
そもそもオフロードモデルはシート高が高い。荒地を走るために最低地上高を上げるためだ。オンでも快適に走行できるデュアルパーパスのKLX230は、市街地でも乗れそうな雰囲気だが、正直諦めるしかない。体重50kgではまたがっても車体が沈み込む気配すらなく、地面ははるか遠く離れたまま。お尻をシートから完全に出してしまえばなんとか着地できるだろう。でも、そこまで苦労して乗りたいかと問われたら微妙。
カタナといえばバイク乗りなら一度は憧れたことがあるのではないだろうか。そのビッグネームがGSX-R1000をベースに戻ってきた。GSX-R1000はシート高825mmで、新型KATANAも同様。両足同時だと爪先の先端がわずかに着地。お尻をズラしても片足がベッタリ着地することはなく、無理目な印象。アップライトなポジションが救いだが、立ちゴケしてしまう予感がする。
プロダクションレースで幾多の勝利を挙げた輝かしい栄光。GSX-Rという名前は特別だ。最新の1000R ABSは重量こそ203kgと軽量だが、シート高はKATANAと同じ825mm。ただ数値以上に足つき性は悪く、両足は爪先の先端がわずかに着地するだけ。お尻をズラしても土踏まず付近が着地するだけで、安心感は得られない。この前傾姿勢で街中を走れと言われたら泣きが入りそうだ。最新ハイスペックマシンはサーキットで乗るならいいだろう。
SV650Xは過去に試乗しているのだが、その時からシート高が790mmしかないのに足つき性が良くないと感じていた。今回改めてまたがってみても、最初の印象を確認しただけだった。おそらくタックロールにしたシート形状が原因で、幅が広いのだ。ただ、Vツインエンジンの特性を生かしてスリムで軽量な車体だから、不安感はまったくない。お尻をズラすことが前提だが、街中でもイヤになるようなことはないはずだ。
スズキ最後はアドベンチャーツアラー、Vストローム250だ。過去にVストローム1000に試乗した時は本当に泣きそうになった。街乗りでは絶えず止まる先に縁石があるか確認しなければ、うっかり停車することさえ躊躇われた。お尻を思いっきりズラして片足爪先立ちな状態。でもこちらの250なら両足同時でも爪先が届く! しかも足の指の付け根まで接地するので車体を支えられる自信が湧いてくる。お尻をズラせば片足ベッタリまで行けるので、余裕で乗れそうだ!