そもそもガスタービンエンジンとはなんなのか? その仕組みを説明しよう。
ガスタービンとはエンジンの一種で、すべての運動部品が回転運動であることが特徴。そのため、振動が少なく小型軽量であり、高出力を得られるのが特長だ。タービンを常時回し空冷している構造なことから冷却装置が要らず、灯油/軽油などの燃料を超リーンで燃焼させるため排ガス性能に優れ、部品点数が少ないことから保守性能にも富んでいる。
燃焼の仕組みとしては以下のとおり。
前方から吸気
圧縮機で圧縮
燃焼室で燃料噴射し、膨張
燃焼エネルギーでタービンを回転させ、排気
4ストローク/サイクルの行程と同じだが、それぞれが別の部位でなされるのがレシプロエンジンとの相違点、ガスタービンの特質である。
ガスタービンにはおもに4つの種類に分けられる。
・ターボジェットエンジン
・ターボファンエンジン
・1軸式ガスタービン
・2軸式ガスタービン
前者2種の末尾に「エンジン」が付されていることからもおわかりのように、「ターボジェットエンジン」「ターボファンエンジン」はそれ自体を原動機として用いるタイプ。「ターボジェットエンジン」は排気のエネルギーを高めジェット噴流とすることで推進力とする。「ターボファンエンジン」は少々複雑で、燃焼エネルギーで回転させるタービンを2層とし、それのひとつを吸気口のファンと同軸とすることで吸入空気量を増やすターボジェットエンジンの発展形である。
航空機用の推力装置として用いられる「ターボジェットエンジン」「ターボファンエンジン」に対して、自動車でも用いられることのあるのが「1軸式ガスタービン」「2軸式他ガスタービン」である。タービン出力を軸出力そのものとして用いるのが前者、燃焼エネルギーによって回転させるタービンと別に出力タービンを後段に置いてそれを出力軸にするのが後者である。
構造からも理解できるように、「1軸式ガスタービン」はシンプルながら連れ回り部品が大きく慣性力が大きいので定回転で作動させるのに優れ、いっぽうの「2軸式ガスタービン」は出力軸の自由度が比較的高い。
トヨタもガスタービン車の開発に力を注いでいた時期があり、1975年にはセンチュリー・ガスタービン・ハイブリッド実験車を出展、1977年にはトヨタスポーツ800・ガスタービンハイブリッドカーに搭載したコンポーネントを展示している。ともにハイブリッドの文字が入っていることからおわかりのように、ガスタービンは発電機の原動機として搭載、いわゆるシリーズハイブリッドとして用いていた。
また、ガスタービンの軸出力そのものを動力として試みた例もあり、それらは流体継手などを介して変速機と接続、後輪出力としていた。しかしガスタービンの特性として、乗用車に求められるような頻繁な負荷変動には向かないことから、いくつかのテストカーが試作されただけで実現には至っていない。
さて、やっとMI-TECHコンセプトである。クルマのコンセプトからガスタービンはシリーズハイブリッドの発電源として使用していることは間違いないだろう。高回転で運転することから高周波騒音をどのようにマスクするのかが興味深く、しかしもともとEVを前提に作られているのならインバータ/モータノイズを消すために高周波NVH対策はとられているものと思われる。
どこに積むのか、どの方向に積むのか、どの方式を採用するのか、興味は尽きない。