CASE(コネクテッド/自動運転/シェアードモビリティ/電動化)が話題に上ることが多い自動車業界だが、「やっぱりクルマはエンジンだ!」という想いを持つ人は多いだろう。燃費も大事だけど、パワーがあってフィールがいいエンジンこそクルマの魅力!ということで、今回は、国産車のエンジンでもっともパワフルなエンジンはどれか?を調べてみた。また、1馬力=いくらか、という「馬力コストパフォーマンス」、1Nm=いくらか、という「トルク・コストパフォーマンス」についても調べてみた。ランキングは2020年中に発売されるGRヤリスの登場でどう変わったか?

国産エンジン パワーランキング1〜10位

 厳しくなる燃費規制に対応するために、エンジンはモーターと組み合わせることが増えてきた。場合によっては発電のためのエンジン、というのもある。純粋にパワー(とトルク)を求めて開発されるエンジンはだんだんと姿を消しつつある。

 とはいえ、それでも2019年10月現在でも国産モデルに魅力的なエンジンが多数存在するのは、嬉しい限りだ。日産の3.0ℓV6ツインターボのVR30DDTTがスカイライン400Rに積まれて登場したのもグッドニュースだ。また、1月の東京オートサロンでは、トヨタが生粋のAWDスポーツモデル、GRヤリスを発表した。


 今回は、まず、現行国産エンジンでもっともパワフルな10基を紹介しよう。そのあと、1ps=いくら? 1Nm=いくら?というコストパフォーマンスについても考察してみることにする。 

VR38DETT 登場から10年以上経つが、いまだに国産頂点に君臨する

3.8ℓV6DOHCターボ


排気量:3799cc


ボア×ストローク:95.5mm×88.4mm


圧縮比:9.0


最高出力:600ps/6800rpm


最大トルク:652Nm/3600-5600rpm

ホンダNSXが搭載する3.5ℓV6ツインターボ。NSXの場合は、モーターも組み合わせるわけだから、エンジン出力だけで比較するのはややかわいそうか

3.5ℓV6DOHCターボ


排気量:3492cc


ボア×ストローク:91.0mm×89.5mm


圧縮比:10.0


最高出力:507ps/6500-7500rpm


最大トルク:550Nm/2000-6000rpm

2UR-GSEは、5.0ℓV8NA。RC Fの仕様がもっともパワフルだが、LC、GS F、IF Sなども出力違いを搭載する

5.0ℓV8DOHC


排気量:4968cc


ボア×ストローク:94.0mm×89.5mm


圧縮比:12.3


最高出力:481ps/7100rpm


最大トルク:535Nm/4800rpm

トヨタの最新ハイパフォーマンスエンジン、V35A-FTSはLS500が搭載する

3.5ℓV6DOHCターボ


排気量:3444cc


ボア×ストローク:85.5mm×100.0mm


圧縮比:10.5


最高出力:422ps/6000rpm


最大トルク:600Nm/1600-4800rpm

ようやくスカイライン400Rに積まれて日本デビューしたVR30DDTT 。400Rの名前とおり、400ps(405ps)オーバーだ

3.0ℓV6DOHCターボ


排気量:2997cc


ボア×ストローク:86.0mm×86.0mm


圧縮比:10.3


最高出力:405ps/6400rpm


最大トルク:475Nm/1600-5200rpm

日産の誇りとも言っていいVQエンジン。福島県いわき工場で作られている。VQ37VHRはニスモ版が355ps、通常版が336ps

3.7ℓV6DOHC


排気量:3696cc


ボア×ストローク:95.5mm×86.0mm


圧縮比:11.0


最高出力:355ps/7400rpm


最大トルク:374Nm/5200rpm

このエンジンを入れるかどうか、意見が分かれると思うが、もちろんBMW製3.0ℓ直6ターボのB58である

3.0ℓ直6DOHCターボ


排気量:2997cc


ボア×ストローク:82.0mm×94.6mm


圧縮比:11.0


最高出力:340ps/5000rpm


最大トルク:500Nm/1600-4500rpm

2.0ℓ級でトップの出力を誇るホンダK20C。シビック タイプRが搭載する

2.0ℓ直4DOHCターボ


排気量:1995cc


ボア×ストローク:86.0mm×85.9mm


圧縮比:9.8


最高出力:320ps/6500rpm


最大トルク:400Nm/2500-4500rpm

名機EJ20もそろそろ生産終了となる。ファイナルモデルがアナウンスされている

2.0ℓ水平対向4 DOHCターボ


排気量:1994cc


ボア×ストローク:92.0mm×75.0mm


圧縮比:8.0


最高出力:308ps/6400rpm


最大トルク:422Nm/4400rpm

ボア×ストローク:86.0mm×86.0mmのスクエアなボクサー直噴ターボ。WRX S4が積む

2.0ℓ水平対向4 DOHCターボ


排気量:1998cc


ボア×ストローク:86.0mm×86.0mm


圧縮比:10.6


最高出力:300ps/5600rpm


最大トルク:400Nm/2000-4800rpm






 残念ながら、GRヤリスの1.6ℓ直3DOHCターボのG16E-GTS(272ps/370Nm)では絶対的な最高出力ランキングではトップ10には入れなかった。では、コストパフォーマンスではどうだろう?

1ps=いくら? 安くてパワフルなモデルはどれ?

 高価なスポーツカーがパワフルなのは、ある意味当然だ。たとえば、最新のポルシェ911カレラ(素のカレラ)は




ポルシェ911カレラ 車両価格1359万7222円


3.0ℓ水平対向6気筒ターボエンジンの最高出力は385psだ。




 となると、1psは13597222÷385=3万5317円




 となる。では、国産のハイパフォーマンスカーたちはどうだろう? もちろん、車格は装備で価格は大きく変わるからひとつの指標にすぎないが、エンジンのコストパフォーマンスを知る意味では面白い計算になるはずだ。どのモデルも最廉価なグレードで計算した。




 では、10位から発表する。とその前にGRヤリス登場で圏外へ押し出された11位から。

第11位:日産GT-R ピュアエディション 1082万8400円

 GT-Rのベースグレードとなるピュアエディションの馬力コストパフォーマンスは非常に高い。570psで1082万8400円ということで、1ps=1万8997円である。ちなみに、国産エンジンでもっともパワフルなGT-Rニスモも同じエンジン(VR38DETT)で30ps高出力な600psを積むが、こちらの馬力コストパフォーマンスは1ps=4万333円と跳ね上がってしまう。車両価格が2420万円だからだ。


 2020年のランキングではGRヤリスの登場でついにトップ10圏外へ押し出されてしまった。

第10位:マツダ・ロードスターRF S 343万9700円

 マツダ・ロードスターのリトラクタブル・ファストバックモデルのRFは、高出力版のSKYACTIV-G2.0を積む。もっともリーズナブルな「S」が343万9700円で184ps。1ps=1万8694円である。

第9位:日産フェアレディZ NISMO 640万9700円

 フェアレディZが積むVQ37VHR。ニスモモデルが積むのはベースグレードの336psに対して355ps。価格は640万9700円だから1ps=1万8055円となる。

第8位:トヨタGRヤリス RZファーストエディション 1ps=1万4559円

GRヤリスのG16E-GTS型1.6ℓ直列3気筒DOHCターボエンジン

 GRヤリスRZファーストエディションの価格は396万円。搭載するエンジンは1.6ℓ直3エンジンで272ps(200kW)/370Nmを発生する。


 1ps=1万4559円は、ランキングで第8位となる。


 前後のトルセンデフ 、冷却スプレー機能付き空冷インタークーラーなどを装備するRZハイパフォーマンスファーストエディションは456万円だから


 1ps=1万6765円となる。これも第9位のフェアレディZニスモより好数値となる。




エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ


エンジン型式:G16E-GTS


排気量:1618cc


ボア×ストローク:87.5mm×89.7mm


圧縮比:10.5


最高出力:272ps(DIN表示で261hp)


最大トルク:370Nm

第7位:シビック タイプR 458万3700円

 国産2.0ℓ最強のシビック タイプR K20Cエンジンは320ps。車両価格は458万3700円で1ps=1万4324円。FFニュルブルクリンク最速を争うモデルなのに、このコストパフォーマンス。素晴らしい!

第6位:スカイライン400R 562万5400円

 新登場のスカイライン400Rは、3.0ℓV6ツインターボのVR30DDTTが405psを叩き出す。車両価格は562万5400円だから、1ps=1万3890円。全体では6位だが、「400ps overクラス」ではダントツのコストパフォーマンスで第1位となる。

第5位:スイフトスポーツ 187万円

 スズキの1.4ℓダウンサイジングターボK14Cは、140psだが、車両価格も187万円ということで1ps=1万3357円。さすがスイスポ、コストパフォーマンス抜群だ。

第4位:WRX STI 393万8000円

 さよならEJカウントダウンとなっているスバルWRX STI。熟成の極みとなっている2.0ℓ水平対向エンジンEJ20ターボは308ps。車両価格が393万8000円だから、1ps=1万2786円というわけだ。

第3位:Subaru BRZ 最廉価のRカスタマイズパッケージが247万5000円

 BRZのRカスタマイズパッケージが1万1957円で第3位。


 ちなみに、「トヨタ86の最廉価モデルはGの267万1900円だから、1万2908円だ。このランキングに入れると第5位になる。

第2位:フェアレディZ ベースグレード 397万9800円

 いまや貴重になった大排気量V6 NAエンジンのVQ37VHRは、336ps/365Nmを絞り出す。それでいて車両価格はベースグレードなら397万9800円と400万円切りだ。

第1位:スバルWRX S4 2.0GT アイサイト343万2000円

 スバルWRX S4の2.0GTアイサイトの価格は343万2000円。搭載エンジンのFA20は、最高出力300psだから、1馬力は1万1440円でもっとも、馬力コストパフォーマンスが高いクルマに決定!


 ただし、このスバルWRX S4もWRX STIと並んでモデル最末期にさしかかっている。欲しい人は急がないと!

1Nm=いくら? 安くてトルキーなモデルはどれ?

 今度は出力(パワー)ではなく、最大トルクで考えてみよう。つまり、1Nm=いくらかということだ。


 車両価格÷最大トルク(Nm)=1Nmいくら? ということだ。




 たとえば、ロードスターRF S(6MT)の2.0ℓSKYACTIV-G2.0RSは184ps/205Nmを発生する。343万9700円÷205=1万6779円となる。

 ロードスターRF S(6MT)の2.0ℓSKYACTIV-G2.0RSは184ps/205Nmを発生する。343万9700円÷205=1万6779円となる。

レクサスLS500 999万6000円

アルトワークス ベースグレード153万7800円

GRヤリスの1.6ℓ直3ターボエンジン。370Nmを発生する

トヨタGRヤリス RZファーストエディション 396万円

 GRヤリスRZファーストエディションは396万円。最大トルクが1.6ℓにして370Nmと強力なおかげで1NM=1万703円という好数値をマークした。

 トルク(1Nm=いくら?)選手権のチャンピオンは?

スイフトスポーツ

 スズキ・スイフトスポーツだった。




 スイフトスポーツのベースグレードの価格は187万円。エンジンは、1.4ℓのK14C 直列4気筒DOHCターボだ。最大トルクは、ターボエンジンらしく1.4ℓという小排気量ながら230Nmという2.3ℓ自然吸気エンジン並み。これが第1位になった理由である。

K14C


1.4ℓ直4DOHCターボ


排気量:1371cc


ボア×ストローク:73.0mm×81.9mm


圧縮比:9.9


最高出力:140ps/5500rpm


最大トルク:230Nm/2500-3500rpm

情報提供元: MotorFan
記事名:「 GRヤリスは第何位? 1ps=いくら? 1Nm=いくらで国産ハイパフォーマンスカーを考えみる。もっともコスパのいいモデルはどれ?