オルタネーターの無駄な連れ回りを極力排し、減速時には回生する「ENE-CHARGE(エネチャージ)」に対して、スズキがさらに機能を進化させたのが「S-エネチャージ」である。言葉がほぼ同じなのに対して、動作と効果は大きく異なるのが特長だ。

「S-エネチャージ」の「S」はスーパーの意味で、エネチャージにプラスしてISGを搭載したことを表している。ISGとは、Integrated Starter Generator=モーター機能付き発電機で、要するにオルタネーターがモーターの役割も兼ねると考えればいい。ISGは通常のオルタネーターより発電効率が高く、エネチャージ用のオルタネーターより減速時の発電能力が約30%も向上している。

スターターモーターとモーターアシスト機能を持つISGは三菱電機製でモーターとしての出力は1.6kW。ISGのスターターモーター機能は、ベルトを介してエンジンを再始動するため、セルモーター式と違い、ギヤの噛み込み音などが発生しない。

「S」の本領は、ISGによるモーターアシストである。モーターアシストの条件は、車速が15~85km/hでCVTがロックアップしている、アクセルの踏み増し、バッテリーの温度、エンジン回転数3500rpm以下、リチウムイオン電池の充電量、エンジンの水温などの条件があるが、最大6秒間のモーターアシストが可能だ。つまり、S-エネチャージはマイルド・ハイブリッド・システムなのである。

エンジンを再始動させる時は、アイドルストップ専用鉛バッテリーの電力を使用してISGのスターターモーター機能によりベルトで静かにエンジンを再始動させる。加速時はさまざまな条件はあるが、15~85km/h走行時に最大6秒間、ISGが駆動をアシストする。車速が13km/h以下になるとエンジンを自動停止する減速時アイドリングストップを採用。アクセルを離し、燃料がカットされると、減速が始まり、同時にISGが発電を始め、ふたつのバッテリー(鉛・リチウムイオン)に効率よく充電する。

「S-エネチャージ」により、加速性能はそのままにエンジンの燃料噴射を少なくし、エンジン回転数を維持することでエンジン出力を約10%低減でき、燃費改善に繋がった。こうした仕組みは、日産がセレナで採用しているSハイブリッドと基本的に同じだが、それを軽自動車に搭載する、できるというのは、驚きだ。

S-エネチャージ用リチウムイオン電池。エネチャージ用のリチウムイオン電池をベースに、ISGが発電する大電流に対応するため充電・給電性能を向上させた。電流の受け入れ性向上と回路の見直しなどを行なったという。アイドリングストップ車専用鉛バッテリーも搭載している。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 スズキの「S-エネチャージ」は「ENE-CHARGE」と何が違う?