REPORT◉永田元輔(Gensuke Nagata)
PHOTO◉田村 弥(Wataru Tamura)
※本記事は『GENROQ』2019年9月号の記事を再編集・再構成したものです。
ポールスターといえば、最近はボルボの電動モビリティのブランドとして知られているが、もとはボルボのレーシングチームであり、ボルボのパフォーマンスモデルにもポールスターという名前が付けられていたことはご存知の方も多いだろう。つまりドライビングプレジャーとパフォーマンスを追求する、というのがポールスターという名前に対するボルボのプライドだと言っていい。それを象徴するのが、「ポールスター・パフォーマンス・ソフトウェア」だ。
これはわかりやすくいえば、メーカー純正のROMチューン。ノーマルの車両にインストールして、パワートレインをアップグレードさせるというもので、具体的にはスロットルレスポンス、ギヤシフトのスピード、シフトプログラム、オフスロットルレスポンス、エンジンパフォーマンスがスポーティな設定となる。さらに新たにAWDモデルについては後輪へのトラクション配分を増やすというプログラムも加えられたという。このようなチューニングは乗り比べてみるとより効果がわかりやすいのだが、今回は幸いにもノーマル車両との比較試乗をする機会に恵まれた。
まず最初はV40D4だ。190㎰/400Nmを発揮する2ℓディーゼルは、重量1.5tそこそこのV40には十分な性能で、エンジンパフォーマンスに不満を感じることなどない。これにポールスター・パフォーマンス・ソフトウェアをインストールしたことで果たしてどれほどの効果があるのか、と半信半疑で乗り換えてみたら、アクセルをひと踏みした瞬間に驚いた。右足の動きに対応するエンジンのレスポンスの素早さ、力強さが違う。そのまま速度を上げていくとグイグイと力強い加速を見せ、明らかに加速の速さはノーマルの一段階上だ。高速道路でパーシャル状態から加速のために踏み増した時も、踏んだ瞬間からトルクがついてくる、といったレスポンスでノーマルで感じた一瞬の“タメ”がない。先にも書いたようにノーマル状態でも不満はないのだが、ポールスター・パフォーマンス・ソフトウェアを一度体験してしまうと物足りなく感じてしまうのは間違いない。
次にXC40T5を試してみた。こちらもやはりトルクの太さ、アクセルに対するレスポンスの速さはノーマルより一枚上だ。特に常用域である1500〜2500rpmくらいでの力強さが印象的で、街中から高速、峠道まで、この回転域の力強さがクルマの印象を大きく変えてくれる。
AWDのXC40はドライブモードにノーマルのDYNAMICに替わりPolester Engineeredというモードがあり、これを選択するとリヤへの駆動力配分が増す設定となる。試して見ると、ノーマルと同じコーナーを同じようなアクセル開度で回っても、アンダーステアは明らかに弱まっていた。車高の高いボディながらグイグイと回っていこうとする動きは、まるでスポーティカーに乗っているような快感を覚えた。
パッケージの内容は専用ソフトウェア、専用リヤエンブレム、アルミニウムプレート、ポールスターソフトウェア搭載認定証で、価格は18万8000円。効果の大きさを実感した今、これは“買い”だと言わざるを得ない。
■ パッケージ内容
専用ソフトウェア/Polestarリヤエンブレム/アルミニウムプレート/Polestarソフトウェア搭載認定証
価格:18万8000円