これまでの最速タイムはホンダ・シビック タイプRの2分53秒72であり、今回のアタックでメガーヌR.S.は5秒以上もタイムを短縮したことになる。
アタックを担当したのは、ニュルの時と同様にルノー・スポールの開発ドライバーのトップを務めるロラン・ウルゴン氏だ。今やニュル最速男として世界中のエンスージアストたちに知られる存在だが、純然たるレーシングドライバーではなく、あくまで社内の開発ドライバーによるタイムアタックにこだわるのはルノー・スポールの信念だろう。
タイムの更新だけが目的ではなく、あくまで開発の一環という姿勢は今回も変わらなかった。
アタックに供されたメガーヌR.S.トロフィーRはサーキットでのパフォーマンスに主眼を置いたトップモデルで、R.S.トロフィーをベースに130kgにおよぶ軽量化が図られている。
300psと400Nmを発揮する直列4気筒1.8Lターボエンジンと6速MTを組み合わせるのはR.S.トロフィーと同じだが、R.S.トロフィーRは中央にエアインテークが設けられたカーボンコンポジット製ボンネット、カーボン製リヤディフューザー、19インチ軽量アロイホイールなどで武装され、さらにリヤシートが取り去られ、リヤワイパーは非装備となるなどさらなる軽量化が図られており、車両重量は1306kgとされている。
また、アクラポビッチのチタン製エキゾーストシステムやブレンボ製ブレーキシステム(ディスクサイズはフロント用が355mm、リヤ用が290mm)、オーリンズ製ショックアブソーバー、ブリヂストン・ポテンザS007タイヤ(サイズは245/35R19)といった最高スペックのパーツが奢られている。
サスペンションはR.S.トロフィーR専用に再設計され、フロントアクスルはネガティブキャンバーを拡大している。ちなみに、カーボンセラミック製のブレーキディスクをオプションで設定しており、その場合、フロントのディスクサイズは390mmとなる。
R.S.トロフィーRは世界500台の限定生産で、2019年内にはフランス本国からデリバリーが開始される。日本への導入ももちろん期待していいだろう。