車両重心点から遠いルーフやエンジンフード、フロントフェンダー、バンパー、トランクリッドにカーボン素材を使用し、車両を軽量化することで、コーナリングの性能が向上。とくにルーフにはカーボン素材の間に、より低比重の材質を挟み込むサンドウィッチ構造を採用し、さらなる軽量化が図られている。これらの外装部品によって約10.5kgの軽量化を達成。
GT3レーシングカーを彷彿とさせるフロントフェンダーのエアダクトは、エンジンルームからの熱を逃がすだけでなく、エンジンルーム内の内圧を下げ、エアダクトの排出風によってフェンダー外表面の流速を下げることで表面リフトを減少させることにより、フロントタイヤのダウンフォースを増やす効果ももたらす。
新開発のレカロシートは、車両とドライバーの一体感を一段と高めるために、ドライバーの肩甲骨から脇腹、骨盤を安定して支える。さらに、カーボンシェルにコアフレーム構造を追加することで軽量化をしながら剛性をアップ。これによりドライバーは、クルマの動きを手に取るように感じ、車両を意のままに操ることができる。
新たに開発した世界最大級のサイズを誇る超高性能のカーボンセラミックブレーキは、世界トップクラスの制動性能はもちろん、サーキットにおける高Gでの利きの良さと、一般道などでの低Gでのコントロール性の両立を実現。ブレーキローターの大径化に合わせて、ピストン配列を最適化した専用の高剛性キャリパーと、新しい摩擦材のブレーキパッドを開発し、高負荷状況だけでなく、日常的な使用においても圧倒的な制動力と優れたコントロール性を発揮する。2020年モデルは、この新開発のカーボンセラミックブレーキと、カーボン製の外装部品やレカロシートなどを合わせて、合計で約30kgの軽量化を達成している。
車両の軽量化や空力性能の向上に加え、9本スポークが特徴の軽量かつ高剛性な鍛造アルミホイールと、新開発のハイグリップゴムを採用するとともに、走行中の接地面積を最大化したハイグリップタイヤを新たに開発。さらに、これに伴い電子制御サスペンションのセッティングも実施。軽量化したブレーキと相まって、ばね下重量を大幅に削減し、路面をより確実にとらえ、その凹凸にあわせてタイヤのグリップを最大限使用することが可能となっている。高車速域においてもステアリングの修正は最小減に抑えられ、コーナリング時の旋回Gが向上、より速いコーナリングが実現した。
一方、「GT-Rトラックエディション・エンジニアード・バイ・ニスモ」の2020年モデルは、日産ワークスであるニスモが、最先端のレーシングフィールドで鍛え上げたテクノロジーを惜しみなく投入し、GT-Rほぼそのままのフォルムに、GT-Rニスモの足まわりとボディ剛性を融合。
2020年モデルでは、新開発のハイグリップタイヤに専用レイズ製アルミ鍛造ホイールを装着している。さらに、圧倒的な制動力を発揮する専用カーボン製セラミックブレーキ、ボディ剛性を高める専用カーボンルーフ、新構造の専用レカロ製シートをオプションで設定。レースで鍛え上げた、ピュアなパフォーマンスを体現したモデルとなっている。