STマイクロエレクトロニクスとArrow Electronics社は、電子制御式燃料噴射装置(EFI)用の包括的な電子制御ユニット(ECU)リファレンス設計を発表した。このリファレンス設計は、今後自動車産業において新たに導入される、単気筒/2気筒ガソリン・エンジン向け排出ガス規制への準拠が簡略化される。

 ECUリファレンス設計のSPC5-L9177A-K02は、今後導入されるEuro 5、Bharat Stage VI(BSVI)、China IVなどの規制への準拠が求められるオートバイ、スクーターおよび三輪車用の小型エンジンを対象としている。また、EFI用ECUを搭載する発電機、船舶用エンジン、農機具用エンジンなどにも使用できる。




 このリファレンス設計は、当該アプリケーションと市場要求に特化して設計されたSTのPower Architecture(R)搭載のパワートレイン向け車載用32bitマイクロコントローラ(マイコン) SPC572Lラインと、電源 / インタフェース / 負荷駆動装置を制御する高集積IC L9177Aをベースにしている。また、STのIGBT(STGD18N40)およびCANインタフェースIC(L9616)も搭載されている。




 SPC5-L9177A-K02には、統合開発環境(IDE)のSPC5Studioを含む包括的な開発エコシステムが付属しており、SPC572Lライン用の各種デバイス・ドライバ、GTM(ジェネリック・タイマ・モジュール)のコンフィギュレーション・ツール、クランクシャフトの角度センサおよび駆動装置を制御する各種ライブラリなどを利用して、アプリケーション開発をただちに始めることができる。EFI制御に関連する複雑な課題を克服するため、STのパートナー企業であるeMoticom社と協力して開発した基本的なアプリケーション・ソフトウェアも用意されており、単気筒エンジンの始動ならびに制御に役立てることができる。




 このリファレンス設計は、今年中に量産立ち上げを予定している複数顧客の開発プロジェクトに採用されている。SPC5-L9177A-K02は、www.arrow.com から入手可能だ。

技術情報

 SPC572Lラインは、STの車載用32bitマイコンのパフォーマンス・シリーズの製品である。シャーシ、トランスミッション、ステアリングおよびブレーキ・システムに加え、4気筒までのガソリン・エンジンとディーゼル・エンジンの制御に特化して設計されている。SPC572Lラインには、インテリジェントな複合型タイマ・モジュールであるGTM、16個の入力チャンネルと56個の出力チャンネル、書込みと読込みの同時処理(RWW)が可能なFlashメモリ(1.5MB、EEPROMエミュレーション機能付き)、汎用データSRAM(64KB)、2個のデシリアル / シリアル・ペリフェラル・インタフェース(DSPI)モジュール、高性能ADコンバータ・システム、および自己診断機能が内蔵されている。




 L9177Aは、ST独自のBCDプロセスを利用してロジック回路とパワー回路をワンチップに集積しており、2気筒までの内燃機関の駆動と電源供給が可能だ。同チップには、300mA 5Vレギュレータ(サーマル・シャットダウン機能付き)、5Vトラッキング・レギュレータ(天絡保護機能付き)、2個の低オン抵抗インジェクタ・ドライバ、一般にエンジンのアイドリング制御に使用されるステッピング・モータ用のドライバ、O2センサ用のヒータ出力のほか、包括的な自己診断機能が内蔵されている。

 詳細については、ウェブサイトをご覧いただきたい。
情報提供元: MotorFan
記事名:「 STマイクロエレクトロニクス:小型エンジンの新しい排出ガス規制に準拠するEFI用リファレンス設計の提供でArrow Electronics社と協力