日立オートモティブシステムズは、今回、米国 KPSキャピタルパートナーズとの間で、同社が所有するオランダ シャシー・ブレーキ・インターナショナルB.V.を100%買収するためのプットオプション契約*を締結した。今後、関連法規に従い、従業員代表との協議や競争法関連の認可手続きを進め、買収を完了する予定。


*プットオプション契約:株式を売却する権利を付与する契約

 今回の買収を通じて、日立オートモティブシステムズは、シャシーおよび安全システムの技術力に加えて、自動車全体の車両運動制御技術をはじめ、電動化や自動運転、先進運転支援システムとの統合制御、さらにはソフトウェアを含めた技術力を向上し、より安全で持続可能な社会に貢献する。また、日立オートモティブシステムズは、シャシー・ブレーキ・インターナショナル社経営陣の豊富な事業構造改革の経験・ノウハウを梃子に、一層の品質向上、オペレーション・業務プロセス改善やデジタル化など、より効率的な事業運営のための取り組みを加速していく。




  かかる取り組みと並行して、日立オートモティブシステムズは、今後も積極的に成長領域に投資していく。自動車市場では、内燃機関から電動化へのシフトや自動運転の拡大による自動車需要の変動が注目されるものの、シャシー・ブレーキ・インターナショナル社が提供する安全システムについては、キャリパーなどを含む制動部品に対する需要が、自動車の総生産台数に応じて継続的に拡大すると見込まれている。他方、コンベンショナルなブレーキから電動制御ブレーキへのシフトは、今後加速すると予想されている。両社統合事業に期待される成長機会を捉えるべく、双方の強みを融合しエンジニアリング、システム設計力を高めることで、先進的な安全システムの強化を図る。




 シャシー・ブレーキ・インターナショナル社は、自動車向け安全システム分野において、ブレーキ技術を生かした幅広い製品ポートフォリオを展開する世界を代表するサプライヤーの一社で、2018年12月期の売上収益は9億ユーロ超に達した。本社をオランダのアイントホーフェンに置き、欧州、アジア、インド、米州などにおいて、11拠点におよぶ開発センターと営業支店に加え、世界に誇る最先端の工場を12拠点で展開しており、約5,500人の従業員を有している。また同社は、コネクテッドカーの増加や電動化、自動運転といった自動車業界で起きているメガトレンドに対応するため、より安全性が高く環境負荷が低い、よりスマートなソリューションの開発に注力している。

 日立オートモティブシステム プレジデント&CEO ブリス・コッホ氏は、以下のようにコメントしている。


「今回の買収を通じて、グローバルなトップ人財やより高度な事業基盤を獲得し、日立オートモティブシステムズの経営改革をさらに加速して、業界リーダーをめざす。安全システムにおける国際競争優位につながる今回の買収は、卓越した事業運営とアライアンスやM&Aによる選択と集中並びにスケールメリットを通じて、パワートレイン、シャシーや安全システムなどのコア事業を強化するという当社事業戦略の重要な一環だ。昨年来の事業売却を通じて事業ポートフォリオの選択と集中を進める段階を経て、中核事業をさらに強化し、グローバルプレゼンスを高めるための再投資として実行するものである」




  日立オートモティブシステムズは、日立製作所のライフセクターに属しており、同事業のトランスフォーメーションは、日立の新たな中期経営計画における重要施策の一つと位置付けられている。シャシー・ブレーキ・インターナショナル社の買収を通じて、先進的な安全システムの事業基盤を確固たるものとし、交通事故削減や排出ガス削減、快適性向上などを実現することで、日立が中計で掲げる社会イノベーション事業により持続可能な社会の実現と人々のQoL向上に貢献する。

 シャシー・ブレーキ・インターナショナル CEO トーマス・ビュンシェ氏は、以下のようにコメントした。


「自動運転や電動化、排出ガス削減といった自動車のメガトレンドは、自動車業界に大規模


な変化をもたらしている。シャシー・ブレーキ・インターナショナル社と日立オートモティブシステムズは、地理的な顧客基盤や技術的な優位性を大いに補完し合うことができる。より安全性が高く環境負荷が低い、よりスマートなイノベーションやソリューションの創出と効率的な事業運営を通じて両社は、自動車業界における今後の課題を解決し、お客さまの期待に応えていく」

情報提供元: MotorFan
記事名:「 自動車向け安全システムにおける業界リーダーをめざす