コンチネンタルGTと同様に、フロントオーバーハングを極端に短くしたデザインはスポーティな雰囲気に溢れるもの。丸目4灯のヘッドライトや流れるようなボディライン、そしてダイナミックなボディサイドのプレスラインなど、優雅さと躍動感を見事に表現したデザインは素直にカッコいいと思えるものだ。
ボンネット先端に設置されるフライングBマスコットは新たにデザインされたもの。これはドライバーがクルマに近づくとウェルカムライトとキーレスエントリーに連動して上昇し、照明が点灯する。
ボディサイズは全長5316mm、全幅1978mm、全高1484mmと先代とほぼ変わらないが、注目はホイールベースで、3194mmという数字は先代よりも130mmも長いのである。これはコンチネンタルGTと同様、フロントタイヤを大幅に前進させた結果だろう。これにより乗り心地や直進安定性もさらにアップしていることが想像できる。
ホイールベースが長くなったことでハンドリング性能が低下することを補うために、ベントレーでは初採用となるAWSが搭載された。低速域ではフロントと逆位相に、高速域では同位相に後輪が操舵され、俊敏性と取り回しやすさ、そして高速での安定性を向上している。
また空気量を60%も増やした3チャンバーのエアスプリングも新設計され、ダイナミックライドと組み合わせることでリムジンのような快適さとスポーツカーのようなハンドリング性能を両立している。
エンジンは6LのW12気筒ツインターボで、パワーは635ps、トルクは900Nmを発揮。8速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせて2437kgの巨体を0-100km/h加速3.8秒で走らせる。最高速度は333km/hだ。
駆動方式は従来通りAWDだが、新型では特に必要のない時は完全にFRとなるようになった。これでさらに自然でスポーティな走りが楽しめるようになっている。フロントへのトルク配分はドライブダイナミクスモードによって可変し、BENTLEYモードとCOMFORTモードではフロントに最大で480Nm、SPORTモードでは同じく最大で280Nmが配分されるようになっている。
インテリアはコンチネンタルGTと同様のデザインで、極めて優雅な空間となっている。15色が用意されるシートレザー、デュアルウッドパネルなどでオーナーの好みに応じた空間を作り出すことが可能だ。後席にはタッチスクリーンが備えられ、後席のクライメートやブラインド、マッサージなどを操作できる。このタッチスクリーンはボタンひとつで簡単に取り外すことが可能だ。
オーディオも650Wのスタンダード仕様に加えて、16スピーカー/1500Wや19スピーカー/2200W など、3種類のシステムを用意している。さらなるこだわりを持つ人には、Mulliner(マリナー)でさらに特別な1台を仕立てることも可能だ。
新型フライングスパーは全て英国で生産され、今秋より受注を開始、2020年初頭の納車を予定しているが、日本でのデリバリー開始時期などは未定だ。
SPECIFICATIONS
ベントレー・フライングスパー
■ ボディサイズ:全長5304×全幅1964×全高1488mm ホイールベース:3195mm ■車両重量:2435kg ■エンジン:W12気筒DOHCツインターボ 総排気量:5950cc 最高出力:467kW(635ps)/——rpm 最大トルク:900Nm(91.8kgm)/ ——rpm ■トランスミッション:8速DCT ■駆動方式:AWD ■サスペンション形式:F4リンク Rマルチリンク ■ブレーキ:F&Rベンチレーテッドディスク ■タイヤサイズ:F275/35ZR22 R315/30ZR22 ■0-100km/h加速:3.8秒 ■最高速度:333km/h