Cセグメントのベンチマーク、VWゴルフ。現行モデルは7代目でVWノモジュラープラットフォーム、MQBをベースに開発されている。次期ゴルフ(Ⅷ)の登場も噂にのぼる時期になったが、ここではゴルフⅦのサスペンションを見ていこう。

 小型FF車の規範となったゴルフの功績のひとつが、リヤにTBA(トーションビームアクスル)というサスペンション形式の基準を作ったことにある。固定車軸のシンプルさと安定性、独立懸架の路面追従性という長所を兼ね備えながら、コストとスペースを最小限に抑えることができるTBAは、FF・2BOXというフォーマットと共に急速な勢いでCセグメント以下の車種に普及していった。だが、プラットフォーム流用派生車種が増えるにつれ、高出力エンジン搭載車に対応すべく、TBAとマルチリンクと使い分けるようになった。


 同じMQBでも。ポロのリヤサスペンションは、TBA、パサート、ティグアンははマルチリンクとなる。




 形式の異なるサスペンションを同じボディにどう取り付けているか。トレーリングリンクの取り付けブラケット穴を共通化した構造で対応している。マルチリンクのサブフレーム取り付け用の埋め込みナットが4カ所に用意されている。

1.2 TSI REAR:TBA(トーションビームアクスル=Torsion-beam axle)

 現行の第7世代になってから、ゴルフは1.2lエンジン搭載車のみにTBAのリヤサスを採用する。年々大型化が進み、ダウンサイジングターボ・エンジンによって相対的な出力が増加すると、TBAではキャパシティが足りないと判断されたからだ。5世代以降の同車が徹底的にリヤの安定性を確保するセッティングになってきたことも、方針転換を加速させた。

4MOTION REAR:マルチリンク式(Multi link)

 ハルデックスカップリングの登場で、FF車を容易にAWD化することができるようになると、車体との支持点が2点だけのTBAでは後輪のトルク負荷と変動に耐えられなくなる。ジョイント数が多く横剛性に優れたマルチリンクはFF高出力版にも使われるようになった。リヤのラゲッジスペースを侵食しないよう、アームやサブフレームの配置構造はFR車より制約が多い。


 ゴルフⅦのマルチリンクは、従来型(Ⅵ)と同様、ハブを取り付けるトレーリングリンクと横方向を支える2本のロワーリンク、キャンバー変化をコントロールするアッパーリンクの4本で構成される。









情報提供元: MotorFan
記事名:「 Suspension Watch:VWゴルフⅦのサスペンションを解説する