Suspension Watch:マツダ・ロードスター(ND)のサスペンションを解説する
ライトウェイトスポーツの代表選手として人気の高いマツダ・ロードスター。FRスポーツカーとしての文法を守るロードスターの前後サスペンションをどうなっているのか?
初代以来、オープンボディの剛性確保に一環としてパワープラントフレームと、専用のダブルウィッシュボーン・サスペンションを受け継ぐ。そのパワープラント・フレームとアーム類の多くが現行ND型ではアルミ化され、至上命題とされた軽量化の一因となっている。リヤのボディ構造の一部をサスペンションメンバーとして活用、ダイアゴナル・ロールに対する剛性を確保する等、ジオメトリー側も含めて旋回時のコントロール性に意を払う改変が施されている。
FRONT:ダブルウィッシュボーン式
オーソドックスなアッパーアーム配置。ロワーアームはL字型で、ナックルジョイント直上にダンパーユニットを取り付けてレバー比1:1とし、低いボンネット高を実現するためにかなり寝かされたダンパー&スプリングの負荷を減らしているようだ。先代から1度増の8度というハイキャスターとし、転舵時にネガティブキャンバー方向になるジオメトリー設定としている。ロワーアームの後ろ側ブッシュはパンケーキタイプだったNC(前型)から進行方向に軸を持つ筒型へ変更している。
REAR:5リンク・マルチリンク式
リヤサスペンションは、アッパー2本、ロワー2本にトーコントロールリンクを加えた5リンク・マルチリンク式。リヤのアッパーアームジョイントと、ロワーアームのそれの位置を揺動軸が斜めになるよう設定。横力を受けた時に起こるトー変化の路面側の回転軸をアクスル後部することでトーをイン方向に強め、リヤの安定性を生む。ダンパーユニットは、ナックル付けだが、ナックル側の取り付け点にタイヤ設置店を近づけてダンパーの摺動軸をナックルの揺動方向に合わせることでレバー比の変化を抑制。ばね反力と減衰力がつねにリニアに作用するようにしている。
リヤのアッパーアームジョイントと、ロワーアームのそれの位置を揺動軸が斜めになるよう設定。横力を受けた時に起こるトー変化の路面側の回転軸をアクスル後部することでトーをイン方向に強め、リヤの安定性を生む。