2030年の例
車両重量1000kgの場合(コンパクトカーなど):27.3km/ℓ
車両重量1400kgの場合(セダンなど):24.6km/ℓ
車両重量1800kgの場合(ミニバンなど):21.1km/ℓ
従来の2020年度燃費基準値は、JC08モードで20.3km/ℓだった。これを今回WLTCモードヘ変換したのが17.6km/ℓという数字である。
WLTCモードとは、世界標準の燃費モードでWorld-wide-harmonized Light vehicles Test Cycle)のことだ。
2020年度燃費基準:平均17.6km/ℓ(WLTCモード)=20.3km/ℓ(JC08モード)
2016年実績値:平均19.2km/ℓ(WLTCモード)
2030年度燃費基準:平均25.4km/ℓ(WLTCモード)
ということである。つまり、2020年度燃費基準は前倒しで達成していたわけで、そのうえでより厳しい2030年度燃費基準が策定されたわけだ。ちなみに策定したのは、国道交通省および経済産業省が設置した燃費規制に関する審議会(「交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会自動車燃費基準小委員会」及び「総合資源エネルギー調査会省 エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会自動車判断基準ワーキンググループ」合同会議 )である。
次期燃費基準の達成判定方式は、CAFE方式だ。CAFEとは、Corporate average fuel economy=「企業別平均燃費方式」のことで、「カフェ」と発音する。CAFE自体は、すでに2020年度燃費基準でも採用していた。ただし、全メーカーが基準をクリアしていたので、ペナルティを課されたメーカーがないため、話題になっていなかった。
また、輸入車も一定数以上の台数を国内で販売しているメーカーはCAFE規制の対象となっている。
CAFEでは、すべての重量区分(WLTCモードでは、従来のステップ状に設定された区分はなし。1名乗車+荷物相当100kgにそのクルマの積載可能重量15%をプラスした重量)で燃費基準を達成する必要はない。燃費の実績値と販売台数で加重平均したCAFE基準値を上回ればいい。自動車メーカーは、それぞれの強みを生かした柔軟な戦略をとることができるわけだ。
例えば、ハイブリッド車を大量に生産、販売することでCAFE基準の平均25.4km/ℓをクリアし、その分高価で燃費基準に達しない大型SUVやスポーツカーを販売することもできる。
加重平均とは、たとえば、AとB、2車種のクルマをラインアップしているメーカーがあったとして、Aのモード燃費が40km/ℓ、Bのモード燃費10km/ℓだとすると、
(40+10)÷2=25.0
だが、25.0km/ℓすると、現実とは違ってきてしまう。
この2モデルが月に1000kmずつ走ったとすると
A:25ℓ
B:100ℓのガソリンが必要となる。
(1000+1000)÷125=16.0
したがって、16.0km/ℓというのが現実の数字だ。この数字を出すのに使われるのが調和平均という方法である。
2030年度燃費基準の対象は
ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPG、EV、PHEV
である。
2030年度燃費基準では、現行の規制では対象外だったEVとPHEVも新たに対象となる。もちろんCAFEの算定対象となる。
EVやPHEVは、電力発電など上流工程まで遡ったWtW(ウェル・トゥ・ホイール)の視点でエネルギー消費効率を算定する。ただし、その計算式については未公表(未決定)である。また燃料電池車(FCEV)は新基準の対象とはならない。
今後は、2019年度中を目途に、国土交通省および経済産業省において、関連法令に基づく基準の改正を行なう予定だ。