エアロパーツの効果を、鈴鹿サーキットでのラップタイムとデータロガーで検証。空力チューニングによるダウンフォースの増大は、5秒ものタイム差だけでなく、最大Gにも大きな違いが見られた!

ings86のフルエアロ状態。鈴鹿ラップタイムは2'25.378と、NAノーマルエンジンと思えない好タイム。そしてこれからエアロを外していく

前後バンパー、GTウイング、ボンネット、フェンダー、サイドステップと、純正パーツに交換。エアロの効果を検証すべく、大掛かりな作業を敢行した



 その検証の前に……これまでのテストを振り返ってみたい。

第1回 ウイングの後端につけるガーニーフラップの効果を実証テスト第2回 GTウイングを極端な角度まで立てると最高速はどれくらい落ちる?第3回 GTウイングの有無でどれくらいコーナリングスピードが変わる?

Test5 エアロを外すとストレートで最高速は伸びたが、コーナーの区間タイムが遅い!

フルエアロに見慣れると、なんとも物足りないノーマル外装。86/BRZレースカーちっくになったというべきか? 

■ノーマル外装 ラップタイム 2'30.839  最高速205.74km/h




(参考 Test1より)


■フルエアロ  ラップタイム2'25.378 最高速201.78km/h



 ノーマル外装にすると、フルエアロよりストレートでの最高速は4km/hも伸びたのだが、ラップタイムは5秒も落ちてしまった!




 フルエアロのダウンフォース効果は、それだけ空気抵抗になるのは確かといえる。しかし、タイヤを路面に押しつける効果で、コーナリングスピードが高まる(下のデジスパイスのデータを参照)。




 ノーマル外装でのアタックを、「クルマが軽く感じる。旋回性の高さはなくなったけど」と佐々木雅弘選手。ダウンフォースの減少でタイヤを路面に押し付ける効果が低下し、軽快感は得られたものの、コーナリングスピードは下がった。

デジスパイスでの車速比較グラフ。S字区間、デグナーのひとつめ、ふたつめ、そしてスプーンでの車速に大差がつく。クルマが路面に張り付くことでドライバーに感じる「クルマの重み」は、タイヤグリップ向上による安心感に結びつく

フルエアロでのデジスパイスによるG表示(計算値)。ダンロップコーナーをはじめ横1.5Gを超えるコーナーが多数
ノーマル外装でのG表示。横1.5Gを超えることはほんの一瞬だけだった。ブレーキングでの縦Gも、フルエアロと比較するとMAX値は下がる


Test6  ノーマル外装にGTウイングだけを装着したら3秒もアップした!

GTウイング装着でトラクションが確保され、ドライバーも積極的にアクセルを踏める。ターンインでのアンダーステアは発生するが、そのロス以上の速さを実現した

■GTウイングのみ装着 ラップタイム 2'27.610 最高速206.57km/h




(Test5より)


■ノーマル外装 ラップタイム 2'30.839  最高速205.74km/h

デグナーにおけるGTウイングの有無でボトムスピードに大差が。進入でも奥まで飛び込んでいるのがわかる。急激に車速を落としてもリアが安定している

 最終テストでは、ノーマル外装にGTウイングだけ装着して効果を検証。フロントダウンフォースが不足して終始アンダーステア傾向だったが、安定してトラクションをかけられる分だけコーナーでの脱出スピードが高まった。




 最高速こそほとんど変わらないものの、ラップタイムは3秒ものアップ。高速サーキットである鈴鹿は、GTウイングの効果がとくに活きるサーキットといえよう。




 また、GTウイングのみ装着するならば、アンダー傾向となるので足まわりのセッティングを変える必要が出てくる。できればフロントバンバーとセットの導入で、前後ダウンフォースのバランスを取りたいものだ。

 これまでの検証で、車検に通る合法サイズのエアロであっても、その効果が絶大であることがわかった。スーパー耐久レース車両にも装着例が多いイングスのエアロパーツ。合法サイズでも、カナードやボトム形状の工夫で、最高速とダウンフォースのバランスを取っている。逆に言えば、その「バランスの妙」がなければ、レースの厳しい世界で勝つことはできない。ルックスに秘められた、エアロパーツの性能を垣間見たテストだった。
■取材協力 イングス TEL0744-42-0611 https://ings-net.com/
情報提供元: MotorFan
記事名:「 エアロパーツでサーキットのラップタイムはどれくらい上がるのか?<ings86で空力チューニングの効果を佐々木雅弘選手が試す:第4回目>