ルノー・マルチセンスや R-Link2など、先進的なインターフェースを採用したうえ、スマートフォンとの連携機能も充実し、高度なユーティリティを実現している。コンフォート性能の面でも大きく進化した、新型メガーヌの使い勝手をチェックしていこう。




TEXTZ●小林秀雄 (KOBAYASHI Hideo)


PHOTOZ●平野 陽 (HIRANO Akio)/宮門秀行 (MIYAKADO Hideyuki)

〈 取材車のプロフィール〉GT &スポーツ・ツアラーGT

GT

ボディカラー:ブルー アイロンM


インテリアカラー:ブラック
スポーツ・ツアラーGT

ボディカラー:グリ チタニアムM


インテリアカラー:ブラック

〈運転席まわり〉デザインとユーティリティが調和したドライバーズ空間

奇をてらうことのないオーソドックスなデザインの中に、最新のインターフェースを融合。日本人が慣れ親しんでいるタッチパネルを主体とした操作性のおかげで、国産車から乗り換えるユーザーも違和感なく使いこなすことができるだろう。「GT」にはナパレザーステアリングやアルミペダルなど、スポーティな専用装備も数多く採用され、スポーティなムードを高めている。

エンジンの始動と停止に使うスイッチはステアリングに向かって左側に装備。アイドリングストップを行なうスタート&ストップ機能は全車に標準装備。

運転席側ドアトリムにドアミラー調整とパワーウインドウのスイッチを装備。パワーウインドウはすべての窓にイージーオープン&クローズ機能を備える。

坂道発進時のずり下がりを防ぐヒルスタートアシストを備えた電動パーキングブレーキ。同じ場所にスピードリミッター/クルーズコントロールのスイッチ、前方にマルチセンスのスイッチを備える。

「GT」および「スポーツ・ツアラーGT」にはパドルシフトを装備。左側のパドルを引き続けると一度に2段以上シフトダウンして最適なギヤを選択する、マルチシフトダウン機能を備える。

手に馴染むレザーシフトノブを全車に標準装備。レバーをドライブの位置から左に倒すと、7速DCTのマニュアル変速操作を行なうことができる。

ノーマルモード
スポーツモード


コンフォートモード
パーソナルモード


メーターには7インチフルカラーTFTモニターを採用。左側に水温計、右側に燃料計を備える。中央のメーターは速度計、回転計、シフトポジション、運転支援システムの機能、シートベルト警告灯など、さまざまな情報表示に対応。選択した走行モードに応じて画面が変化するほか、車両設定のメニューからパネルのカラーを緑、青、黄、赤、紫の5色から選ぶこともできる。

「GT」系は発進加速を最大化するローンチコントロールも装備。スポーツモードを選択し、左足でブレーキを踏みながら左右のパドルシフトを同時に引くと、メーター表示が“Launch Control”とシグナルに変わる。アクセルを踏み込むと回転数2500rpm付近で固定。左足をブレーキから離すと、0-100㎞/h加速7.1秒の加速力を発揮する。



ドアを解錠して運転席に乗り込む際には、メーターパネルとセンターモニターにウェルカムムービーを再生。高揚感を高めるサウンドとともに、メガーヌのフロントフェイスと“RENAULTSPORT”のロゴが表示される。



メーター下側のインフォメーションディスプレイにはトリップコンピューター情報を表示。平均燃費や走行可能距離のほか、瞬間燃費、走行距離、平均車速などを確認できる。



ステアリングの左右スポーク部分にスイッチを装備。左側はスピードリミッター/クルーズコントロールの操作スイッチ、右側はインフォメーションディスプレイ、ハンズフリー通話、音声操作などの操作スイッチを備える

左側コラムレバーはヘッドライトとフォグランプの点灯、ウインカーの操作用。AUTOの位置に合わせてハイビームにすると、オートハイ/ ロービーム機能が使用できる。
右側のコラムレバーはワイパーの操作用。間欠ワイパーの間隔は4段階で調整することができる。フロントワイパーは雨滴感知式オート機能を、リヤワイパーは間欠機能とリバースギヤ連動機能を備える。


ルノー車ではおなじみのオーディオサテライトスイッチも装備。音量の上げ下げやミュート、ソース切り換え、電話モードへの切り換え、ラジオの選局および再生音楽の選曲など、多彩な操作に対応する。

〈オーディオ&空調〉スマートフォンとの連携機能を強化

新型メガーヌの「GT」系にはルノー・マルチセンスと呼ばれる最新インターフェースを採用。走行モードを選択できるほか、音響や空調、運転支援システムの制御を自分好みに設定することが可能だ。また、スマートフォンと接続ができるマルチメディアシステムも備え、長距離移動でも快適に過ごせる利便性を高めている。

センターモニターには7インチのタッチスクリーンを採用。長押しやスワイプ操作にも対応している。メニュー画面からはマルチメディア(オーディオ)、電話(ハンズフ通話)、車(各種の車両設定)、システム(ユーザープロフィールや言語などの設定)を選択することができる。

走行モードをコンフォート、スポーツ、ニュートラル、パーソナルの4種類から選択することができる。それぞれのモードに応じて、アクセルレスポンスやエンジンマッピング、ステアリングレスポンス、4コントロールの制御を変更。パーソナルモードでは、空調の効き方やエンジンサウンドの聞こえ方(R-サウンド)も変更が可能となる。

パーキングセンサー/リヤカメラ



超音波センサーを使って障害物との距離を視覚的に表示するパーキングセンサー(「GT-Line」はリヤセンサーのみ)と、後退時の車両後方の映像をモニターに表示するリヤカメラを装備。車庫入れや発進時の安全をサポートする。

スマートフォンと接続



iPhone のApple CarPlay およびアンドロイド端末のAndroid Autoに対応。USBで端末と接続すれば、マップ機能やオーディオの再生、通話やショートメッセージの送受信など、それぞれの機能をモニター上で操作することができる。

イージーパーキングアシスト

「GT」系にはステアリングの自動制御で車庫入れや縦列駐車をサポートするイージーパーキングアシストを装備。縦列駐車は出入りともに対応し、バックでの車庫入れは垂直方向と斜め方向に対応。画面上で駐車可能なスペースを検知すると、自動操舵で操作をアシスト。 ドライバーはアクセル、ブレーキ、シフト操作を行なう。

センターパネル中央には、ルノー・マルチセンス用のハードキーと空調の操作スイッチを装備。マルチセンス用は、左からホーム画面、画面表示オフ、メインスイッチ/ 音量ノブ、運転アシスト画面(車線逸脱警報の設定など)、画面表示設定の呼び出し用。エアコンには、外気の状態を確認する外気センサーや車内の空気清浄機能も備わる。

空調パネルの下側にもスイッチ類を装備。上段はハザードスイッチとドアロックのスイッチ、下段はシートヒーター、R.S.ドライブ、アイドリングストップオフ、イージーパーキングアシストのスイッチ。R.S.ドライブのスイッチを一回押すとスポーツモードに切り換わり、モニターにはマルチセンスの画面が呼び出される。「GT-Line」はR.S.ドライブの代わりにECOモードを装備。

後席用のエアコン送風口は全車に標準装備。下に12Vのソケットも備わる。
前席シートヒーターは「GT」系に標準装備。二段階の温度調整が可能。


センターコンソールの奥にUSB×2個、AUX、12Vのアクセサリーソケットを装備。

〈居住性&乗降性〉ゆったりとした空間を確保

新型メガーヌはロングツーリングにも向いた快適な居住空間を実現。後席のニースペースは約216㎜確保され、リヤシートの背もたれ傾斜角は約27°と、長距離でも楽な姿勢を保つことができる。乗降性も良好で、ファミリーカーとしての資質の高さも実感させる。

「GT」系はアルカンタラを使用したGTスポーツシートを装備。「GT-Line」の場合はファブリックのスタンダードシートが採用される。ヘッドレスト一体型のGTスポーツシートは、背もたれと座面に大きなサイドサポートを備え、身体全体を包み込むようなサポート性を発揮。シート自体の座り心地がいいのはルノーの伝統通りで、その戦闘的な見た目に反して、常にリラックスした着座感覚を味わえる。ステアリングにはチルトとテレスコピック調整機構を装備。パワーシートこそ設定されていないが、理想的なドライビングポジションに調

「GT」はリヤシートの一部にもアルカンタラを採用。中央席を含めて高さ調整式ヘッドレストを装備している。2名掛けを想定したサポート形状を備えると同時に、中央席にも充分な幅が取られているので、3名掛けでも決して窮屈ではない。スペースの広さはクラストップレベルで、後席用エアコンアウトレットやセンターアームレストなど、快適装備も充実。長距離ドライブでも、ゆったりとした気分で楽しめそうだ。

チャイルドシートの固定システムは、ISOFIX規格はもちろん、ISOFIXと互換性を持たせつつ安全性を高めたi-Size規格に対応。

シートサイドに高さ調整用とリクライニングのレバーを装備。



GTスポーツシートの大きなサイドサポートが、乗り降りする際には少し妨げとなることを除くと、乗降性はおおむね良好。ドア開口部も大きく、ルーフラインも水平に近い軌道を描いているため、必要以上に上半身を屈める必要がなく、自然な姿勢で乗り降りできる。

うれしい装備 ①

〈フロントマップランプ〉「GT」系はフロントのマップランプにLEDを採用。

〈リヤルームランプ〉「GT」系は後席用のルームランプもLEDとなっている。

〈バニティミラー&チケットホルダー〉左右に装備されるバニティミラーは「GT」系のみ照明付き。





〈アンビエントライト〉緑、青、黄、赤、紫の5色から選べる間接照明を装備。

〈室内の収納スペース〉気の利いた多彩な収納を完備

フル乗車したとしても、乗員各自が物の置き場に困ることのない豊富な収納スペースを装備。フロントのアームレストやカップホルダーには可動機構を備えるなど、使い勝手に対する配慮も行き届いている。

助手席前のグローブボックスはダッシュボード側とリッド側の両方に収納スペースを用意。カードホルダーも備わる。
グローブボックスの奥には充電専用のUSBが2個とAUXの接続端子を装備。複数の端末を同時に充電できる。


シフトレバーの前方にはスマートフォンを置くのにちょうどいい大きさのラバートレイを装備。USBポートからも近くて便利。
パーキングブレーキのスイッチ後方にスリット状の小物入れを装備。ミントタブレットなどを置くのにちょうどいい。


センターコンソールにリッド付きドリンクホルダーを装備。ステーを中央にセットするとドリ ンク2個を収納できる。
ドリンクホルダーのステーはスライドさせることが可能。ステーを後ろに移動させると小物入れとして使える。


フロントアームレストの下にもボックスを装備。中は意外と奥行きがあり、開口部より長さのあるものでも収納できる。
フロントアームレストは前後のスライド機能を備える。好みでちょうどいい位置に合わせて使うことができて、とても便利。


運転席と助手席はともにシートバックポケットを装備。旅行ガイドなどを常備できるほか、後席用の収納としても使える。
後席アームレストにもカップホルダーを装備。Lサイズの紙コップなどは中央の円に、350㎖缶などは両脇の円に収まる。


深さと幅のあるリヤドアポケットを左右に装備。500㎖のペットボトルを入れても、まだまだ余裕が残るほどの大きさ。
フロントのドアポケットも収納力抜群。前方は500㎖ペットボトルも入れやすい形状になっており、大きめのポーチも収まる。


うれしい装備②



〈ハンズフリーカードキー〉カードキーを携帯しておけば、ドアノブを操作するだけで解錠と施錠が可能。リモコンスイッチも備わり、ルームランプ点灯用のスイッチを押せば、暗がりで自車位置を確認するのに便利。

〈ルーフレール〉「スポーツ・ツアラーGT」にはルーフレールを標準装備。純正アクセサリーとしても設定されているルーフキャリアなどを取り付けできる。

〈キャップレス給油口〉給油口にはキャップが備わらず、給油ノズルと連動して開閉するフラップを装備。給油するときの手間を省き、手が汚れる心配も無用。

〈BSW(後側方車両検知警報)〉「GT」系は斜め後ろを走行している別のクルマを検知するとドアミラーのLEDインジケータを点灯。うっかり車線変更しないよう、注意力が高まる。

〈エマージェンシーブレーキサポート〉衝突回避・被害軽減ブレーキ用のミリ波レーダーは、フロントエンブレムの内側に装備。先行車に近づき過ぎると注意を促す車間距離警報も採用。

〈ラゲッジルーム〉広大で使い勝手のいい荷室

スーパーでの買い物など、日常的な用途では使い切れないほど広い荷室。家具などの大型の荷物を運びたいときでも、後席の分割可倒機構を使ってスペースをアレンジすることができる。さすがは欧州のベストセラーカーと思わせる、実用性の高さだ。



開口部からフロアまでの深さは約210㎜。深さがある分、しっかりとした容量が確保されており、通常の状態でもかなり大量の荷物を積載することができる。後席シートは6対4分割可倒式で、荷物の大きさや量、乗車人数に応じて荷室と後席の空間をアレンジできる。背もたれを倒すだけのシンプルなシングルフォールドで、シートとフロアの間には約120㎜の段差ができる。

テールゲートを開いたときの高さは、ゲートの先端部分で約2010㎜、手を引っ掛けるハンドル部分で約1820㎜となっている。ハンドルは女性でも手が届きやすい位置にあるので、開け閉めの動作も楽に行なえるはずだ。

全車スペアタイヤの代わりにパンク修理剤を標準装備。荷室の床下は樹脂製のケースが剥き出しになってはいるものの、カーペットを敷くなどの工夫をすれば、プラスαの収納スペースとしても使うことができるだろう。

ハッチバックは吊り下げ式のトノボードを装備。中の荷物が見えなくなるので、プライバシーを保てる。
荷室側面にはコンビニフックを装備。ビニール袋など自立させることができない荷物を引っ掛けておくのに便利。


スポーツ・ツアラーGTのラゲッジルーム

ワゴンボディの「スポーツ・ツアラーGT」は、さらに広いラゲッジルームを装備。容量は通常時で580ℓ、後席格納時で1695ℓと広大だ。後席シートの格納方法はハッチバックと同じ6対4分割可倒式。フロアには前後2枚の可動式ボードを備え、アレンジ性を高めている。

ラゲッジボードは前後それぞれ高さを変えることができる。写真のように前後で異なる高さにしたり、2枚とも低い位置にして容量を稼ぐことも可能だ。
手前側のラゲッジボードにはディバイダーを装備。荷室が広すぎて使いにくいときにパーテーションとして使うことができる。物を挟んでおけるゴムベルトも装備。


「スポーツ・ツアラーGT」は引き出し式のトノカバーを装備。「PRESS」と書いているところを軽く押すだけでロックが解除され、カバーがするすると格納される。
トノカバーは床下のスペースに収納することが可能。不意に荷物が増えてしまったときでもスマートに対応できる。


6対4分割可倒式の後席シートを倒すレバーを荷室サイドに装備。レバーを引っ張るだけで背もたれがバタンと倒れるので、荷室を広げたいときに便利。
フロア左右の両サイドにもポケット状の小物入れを装備。物が動かないように固定できるゴムベルトも備わる。


荷室サイドに12Vのアクセサリーソケットを装備。アウトドアで市販の電化製品を使うときなどにも重宝する。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 ルノー・メガーヌの使い勝手を徹底チェック!