NGKが3月に開催された東京モーターサイクルショーで、まったく新しい二輪専用プラグ「MotoDX」を発表した。さて、どこが新しいのか?




TEXT &PHOTO:松井亜希彦(MFi) FIGURE:日本特殊陶業

 四輪車と比較して、オートバイは常用エンジン回転数が圧倒的に高く、必然的にプラグ点火の回数も増える。このようなオートバイ用プラグにおいて、日本特殊陶業のプラグブランドNGKは全世界で7割という高いシェアを誇っている。そのNGKが3月に開催された東京モーターサイクルショーで、まったく新しい二輪専用プラグ「MotoDX」を発表した。




 シリンダー内の混合気の流れや火炎の広がりを徹底的にシミュレートし、従来品と比較して効率よく電極部に混合気を導く形状としたD-Shape外側電極が最大の特長で、始動性、加速性、耐久性や耐汚損性、燃費などあらゆる分野での性能向上を果たしている。その名のとおり、英大文字のDを横に倒した形状の外側電極は一般的なプラグよりも細く、さらに角の部分も滑らかにラウンドさせ、着火直後の火炎がより効率的に広がるようになった。この結果、250ccツインのテスト車両による社内測定の結果では、30km/h→80km/hへの加速において一般的なニッケルプラグ装着時より0.2秒のタイムアップを実現。またアイドリング時の燃料消費も2.3%減少させている。




 さらに、近年のオートバイではエンジンレイアウトやカウリング等の影響でプラグ交換作業に手間がかかる点を考慮し、貴金属系のルテニウムを配合した中心電極などの採用で耐久性も向上させた。価格は同社のイリジウムプラグより1本で数百円高い2200円前後だが、前述した性能向上とロングライフを考えれば、充分にリーズナブルな設定といえるだろう。

D-Shape外側電極とルテニウム中心電極を採用

細いだけでなく、端の部分の角を丸めた外側電極と、消耗しにくいルテニウムの中心電極がMotoDXの最大の特長。右上の写真の左側が従来のイリジウムプラグだが、外側電極のサイズはこれだけ違う。外側電極が小さくなると製造時の溶接の難易度も上がるが、性能向上のため採用を決定したという。

混合気と火炎の広がりを阻害しない構造と形状

中心電極の下部にある絶縁体先端部との間のサーモクリアランスを広く取ることで、火炎ギャップと異なる部位で火花が発生するリークを抑制し、優れた着火性能を実現。外側電極はその形状により、吸気の流れを阻害せず火花ギャップに効率的に導き、火炎をより球状に近い理想的な高速燃焼へと広げていく。

ラインアップを順次拡大し多くの車種に対応

4月中旬の販売開始時はまず4タイプのサイズをリリース。その後は順次、別サイズを追加していく予定となっている。交換推奨距離の目安は8000km~10000kmと長い。

日常でのインプレッションも今後発表

二輪ジャーナリスト宮城光氏(右)がNGK市販技術サービス部・部長の鈴木徹志氏とトークショーを実施。宮城氏は愛車にMotoDXを装着し性能をチェック、ウェブ等で報告していく。

〈EDITOR'S EYE!〉こだわりを持つライダーに受け入れられる商品コンセプト

1980年代のオートバイブームに1800万台まで到達した国内二輪保有台数は、現在では1000万台まで減少。しかしいまも趣味として二輪車に乗る人は装着するパーツにも単に価格だけではない付加価値を求める人が多いという。MotoDXはまさに、こうした消費者志向にマッチした製品だ。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 NGK:特殊な電極を持つ二輪専用プラグ MotoDXを日本特殊陶業が発表