レクサスの由来について公式なアナウンスはないが、「豪華」「贅沢」を意味する「ラグジュアリー」という言葉をもとに、ギリシャ語などによく見られる「US(ウス)」を語尾につけた造語という見方が一般的だ。
ちなみにLS400の日本名であるセルシオは、ラテン語で「至上」や「最高」を意味する「セルサス(CELSUS)」をもとにした造語とされており、セルシオに反映されなかった後半の「サス」をラクジュアリーの「LUX」の語尾につけるとレクサスになる。
当時、マーケティング担当者たちがそんな言葉遊びをしていた可能性は考えられる。
レクサスやインフィニティに先駆け、1986年にホンダの高級ブランドとしてアメリカで展開開始。当初のラインナップはフラッグシップサルーンのレジェンドとスペシャリティカーのインテグラだった。90年にはNSXが登場し、スポーティかつラグジュアリーなハイエンドブランドとしてのイメージを確立した。
アキュラの由来については、レクサスと同様に公式なアナウンスはない。「正確さ」を意味する英語の「Accuracy」を由来とする説が有力だが、それだけでは決定力に欠ける気もする。もちろん日本車らしい品質を連想させるというポジティブな効力はあるだろう。
Aの次にCが来ることで、世界中の自動車メーカーのブランド名をアルファベット順に並べたときに、ほぼ間違いなく先頭に来るという狙いがあったという説もある。
そして「アキュラ」という響きが、アメリカ人にどこか異国情緒を感じさせ、それでいて発音しやすいという判断もあったようだ。
「正確で高品質」かつ「東洋のメーカー製」であることを想起させ、かつ英語話者にも親しみやすい発音であるという、造語としてはなかなか秀逸なものと言えそうだ。
「無限」を意味するイタリア語で、今回取り上げた3ブランドのなかでは唯一、造語ではない。英語では「INFINITY」だが、同ブランドの綴りは「INFINITI」だ。
ちなみにかつてマツダが多チャンネル化を推進していた頃のブランドのひとつ、「アンフィニ」はフランス語で、意味はインフィニティと同じである。
レクサスと同じ1989年に北米で展開を開始し、市販第一号はレクサスLSのライバルとして投入されたQ45で、後にスカイラインやセフィーロなどもインフィニティとして販売され、現在は高級SUVなどもラインナップされている。
以上、インフィニティ以外は造語という結果だったが、それにしてはいかにもハイエンドブランド風で、なかなか重みを感じさせるネーミングではある。アメリカの現地法人や広告代理店を巻き込み、世界の主要マーケットで念入りにリサーチを行った、そんな努力の賜物なのだろう。