TEXT&PHOTO●小林秀雄(KOBAYASHI Hideo)
僕は2016年にオレンジカウンティのアリソ・ヴィエホという街にあるタウンセンターで開催されたCars And Coffeeに行ってきました。どうやら現在はサンクレメンテに移転し、South OC Cars And Coffee として運営されている模様です。ちなみに“Cars And Coffee”は、より自然な英語の発音だと“カーズン・カフィ”といった感じです。
その時は「土曜日だし、取材場所の近くでやってるからちょっと覗きに行ってみよう」くらいの軽い気持ちで出かけたのですが、いざ会場に着いてみると、本当に次から次へと色んなクルマがやってくるではありませんか!
アメリカ人の大好きなホットロッドを筆頭に、マスタングやカマロ、コルベット、ポルシェ、フェラーリ、フォードGT40、ACコブラらが姿をあらわしたかと思うと、あちらからはランボルギーニなどの現行スーパースポーツが快音を鳴らし、こちらからはVWビートルがドコドコと空冷サウンドを刻んでやってきます。
なかにはメーカーや車名すらぱっと出てこない博物館級のヴィンテージカーまで! それらすべてがちゃんと自走でやってくるところも、Cars And Coffeeの醍醐味です。
そんなパラダイスのような光景を目の前にすると、もし自分が地元のカーオーナーだったらと想像しないわけにはいきません。気持ちのいいカリフォルニアの朝日を浴びながらモーニングクルーズを楽しみ、会場に着いたら、まずは文字通り一杯のコーヒーを味わいます。
ぶらぶらっとクルマを眺めて歩き、顔なじみに出会えばウィットに富んだ会話を楽しみます。ああ、こんなカーライフを優雅と言わずして何というのでしょうか……。
毎週決まった場所で、特に入場制限もなく、開場時間内であればいつ行っても、いつ帰ってもOK。そんな個人の自由を尊重したアメリカらしいアバウトさが、かえって参加するクルマの質と量を高めているのがCars And Coffeeの特徴なんだと思います。クルマが生活に根ざしたアメリカの文化の奥深さを実感するひと時でありました。
著者プロフィール
小林秀雄:大正から昭和初期の文豪の如き不健康な風貌ながら、趣味は草野球とサーフィンというわかりにくい男。編集プロダクション勤務を経てフリーライターへ。愛車は初代VWゴルフで、ただいまエンジンスワップを画策中。