TEXT◎木原寛明(KIHARA Hiroaki)
全幅こそ新型スープラの方が若干ワイドだが、ボディ寸法、ホイールベースの数値はじつに似ていることにお気づきになられただろうか。ちなみにスープラと基本設計の一部が共通のBMWZ4は全長×全幅×全高:4335×1865×1305㎜となっており、ホイールベースはスープラと同じ2470㎜である。
※ケイマンの写真は左右反転させています。
■新型スープラRZ 全幅:1865㎜ トレッド:フロント1594㎜/リヤ1589㎜
■ポルシェ・ケイマンS 全幅:1801㎜ トレッド:フロント1515㎜/リヤ1540㎜
新型スープラは全幅が64㎜ワイドで、それにともない前後トレッドも広くなっている。迫力のあるスープラのスタイルは魅力的だが、立体駐車場の利用など日常の使い勝手は全幅1850㎜を超えるスープラはケイマンに対して多少のハンディキャップになるかもしれない。
■新型スープラRZ 最高出力:340ps/5000-6500rpm 最大トルク:500Nm/1600-4500rpm
■ポルシェ・ケイマンS 最高出力:350ps/6500rpm 最大トルク:420Nm/1900-4500rpm
スープラRZは340psを叩き出す。これは歴代モデル最強の数値だが、注目したいのは500Nmという5ℓ自然吸気エンジン並みの最大トルクを1600rpmから4500rpmの幅広い回転域で発生している点。高速道路での追い越し加速や、コーナー立ち上がりの加速の速さに繋がるからだ。ケイマンSは2.5ℓの排気量から350psを絞り出しているが、最大トルクはスープラRZに敵わない。スープラSZ-Rは258psと400Nm、SZは197psと320Nm、ケイマンは300psと380Nmである。
■新型スープラRZ パワー・ウェイト・レシオ4.47kg/ps
■ポルシェ・ケイマンS パワー・ウェイト・レシオ3.96kg/ps
車重を馬力で割ったパワー・ウェイト・レシオはスポーツカーの加速性能にとってひとつの指標となる。この勝負はケイマンSに軍配が上がったが理由は車重の差。スープラRZが1520㎏、ケイマンSは1385㎏とより軽量なのだ。ちなみに80年代にはパワー・ウェイト・レシオが7㎏/ps台ならスポーツカーとしての資質は十分と言われた。参考までに1986年にデビューした70型スープラの3.0GTターボは6.61㎏/psだった。
停止状態から100㎞/hに到達するまでの時間。前述したパワー・ウェイト・レシオの良好な数値からも想像できるように、どちらも俊敏な加速性能を有する。8速ATのみのスープラに対してケイマンSは7速PDKと6速MTからチョイスできるが、これはPDKの数値。MTの場合は4.6秒とわずかながらタイムが伸びる。また、PDKでは発進加速を最大限に高めるローンチコントロールという機能が付いており、これを使うと4.2秒にまで短縮できる。両者のトラクション性能のよさも容易に想像できる数値である。
ちなみに価格は・・・
トヨタ・スープラRZ 690万円(予想価格)
ポルシェ917ケイマンS(7速DCT)862万円
なので、スープラのリーズナブルさが際立つことになる。