TEXT&PHOTO●小林秀雄(KOBAYASHI Hideo)
さて、今年も4月19日からニューヨーク・オートショーの一般公開が始まりましたね。僕は昨年の2018年に取材に行ってきました。わけあってプレスデーではなく、一般公開日に行ったのですが、本当にお客さんが多くてびっくり。大体どのメーカーもフルラインナップを取り揃えて、「どうぞご覧ください」とばかりに車両をズラリと展示していました。
来場者も誰に気兼ねすることなく、自由にドアを開けてがんがん乗り込み、インテリアの質感や広さを確認。モーターショーというよりは、さながら巨大なショールームといった感じで、アメリカらしい華やかかつユルい雰囲気だったのを覚えています。
そして取材後、せっかくニューヨークに来たのだから、なにか名物でも食おうじゃないかということで、地下鉄を乗り継いでパストラミ・サンドイッチを食べに行きました。向かったのは「カッツ・デリカテッセン(Katzs Delicatessen)」。創業1888年の老舗レストランで、多くのグルメガイドにも掲載されている名店です。
ここは注文と会計の方法がなかなか独特で、最初はかなり戸惑ってしまいました。お店に入るとまず何やら紙を渡されます。何に使う紙なのかよくわからないまま、オーダー待ちの列に並びます。
列の先を見上げると「カッター(CUTTER)」と書かれた札とメニューが。なるほど、文字通り「パストラミをカットする人=カッター」が注文を受け、その場でサンドイッチを作ってくれるんだ!と、ようやく合点がいきました。サンドイッチが完成するまでの間、カッターがちょこちょこっと切ったパストラミを「まあそれでも食って待ってろや」といった感じで出してくれます。
そして、最初に入口で渡された紙ですが、カッターに手渡すとオーダーの内容を鉛筆でさらさらと書いてくれます。つまりセルフオーダーなんだけど伝票は自分で管理するシステムということですね。
飲み物やサイドメニューは別の場所で注文するので、その都度、紙をお店の人に渡して注文を書き込んでもらいます。そしてお店を出る時に出口にあるレジで支払いをするという流れ。どうやら別途お金を払うと、普通のレストランのようにウェイターが注文を取りに来るテーブルを確保することもできるようです。
で、肝心のお味はといいますと、ジューシーなパストラミがこれでもかと大量に挟まれたサンドイッチは美味そのもの。多少ボリューミーではありますが、パストラミ自体の味は見た目ほどクドイわけでもなく、やらかいお肉を口いっぱいに頬張る多幸感が広がります。添え物としてついてくるピクルスとキュウリがまた絶妙な箸休めになっていて、ひとくち噛めば摂取したカロリーをゼロにしてくれます(嘘)。
場所はロウアーマンハッタンにありますので、ニューヨークショー会場のジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターからは少し離れていますが、もしNYに行かれる機会があれば、ぜひ行ってみてください。
著者プロフィール
小林秀雄:大正から昭和初期の文豪の如き不健康 な風貌ながら、趣味は草野球とサーフィンというわかりにくい男。編集プロダクション勤務を経てフリーライターへ。愛車は初代VWゴルフで、ただいまATからMTへの換装手術中。