シーメンスは3月22日、陸海空軍向けの信号処理、通信諜報、分析の最新テクノロジーをはじめ、産業製品の品質試験用NVHソリューションの世界的プロバイダーであるSaab Medav Technologies GmbHの最終工程NVH品質試験事業を買収する契約を締結したことを発表した。

 Saab Medavが提供するユニークなNVH品質試験ソリューションは、豊富な実績を持ち、内燃機関、トランスミッション、電気モーター、モーター駆動コンポーネントやシステムの最終品質検査の分野で革新的なベスト・プラクティスを構築してきた。そして、この買収によりSaab Medavが提供する最終工程用統合NVH品質試験ソリューションがシーメンスの研究開発用のSimcenterポートフォリオの試験ソリューションに補完されることになる。Saab Medav のNVH品質試験テクノロジーとチームは、シーメンスデジタルファクトリー事業本部のビジネスユニットであるシーメンスPLMソフトウェアの傘下に入り、Simcenterポートフォリオのシミュレーションおよび試験ソリューションに組み込まれる。




 自動車業界や輸送機器業界では、品質改善へのプレッシャーがますます高まり、電気モーターや内燃機関、トランスミッション、アクセル、ターボ・チャージャーなどの製品に対する最終工程のNVH試験のニーズが急増している。この現象は、一般に騒音レベルが低く、また高騒音の内燃機関による音のマスキング効果がない電気自動車の台頭により拍車がかかっている。




 シーメンスPLMソフトウェアのシミュレーションおよび試験ソリューション担当シニア・バイスプレジデントのJan Leuridan氏は「シーメンスのソリューションを使用しているお客様がSaab MedavのNVH品質試験ソリューションを統合すれば、品質管理情報を製造から連続的に得られるようになるため、製品設計のデジタルツインをより強化することができます。これにより、製品の最終品質に影響する製造ラインの生産技術とバラツキに関してユニークな情報を得ることができます。さらに、製造時に露呈する設計問題の根本原因の分析に関するフィードバックも直接入手でき、再設計をすぐに始めるための情報も得られます。製造から設計・エンジニアリングへの絶え間ないデータのフィードバック・ループを構築することで、次世代の製品設計に必要な最適化要件に関するループも閉じることができるようになります」と述べている。




 Saab MedavのNVH部門責任者のOlaf Strama氏は「シーメンスは、NVH試験ベースのエンジニアリングとシミュレーションの分野でマーケットリーダーであり、かつテクノロジーリーダーです。シーメンスの試験ベースのエンジニアリング・テクノロジーとSaab Medavの最終工程テクノロジーを統合すれば、今後、両社の得意とするアプリケーション分野でイノベーションをおこすための強力な基盤が出来上がります。シーメンスの傘下に入ることで、当社のお客様は、業界をリードするNVH試験のテクノロジーとソリューションだけでなく、データ捕捉やスマート・データ・アナリティクスのための広範なシステムとソフトウェアのポートフォリオを利用できるようになり、多くのメリットを享受できるようになるでしょう。そして、シーメンスのグローバルな事業展開に乗って、世界中の主要な製造業のお客様にサービスを提供できるようになり、市場での地位もより強化されることでしょう」と述べている。




 両社間の資産売買取引の完了期日は2019年第2四半期。両社はこの取引の詳細を一切開示しないことに合意している。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 シーメンス:Saab Medavの騒音・振動・ハーシュネス事業を買収