REPORT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)
メルセデス・ベンツの基幹サルーンとも言える、Sクラス、Eクラス、Cクラスのなかで最もコンパクトであり、異様に切れるフロントタイヤがもたらす最小回転半径は5.2mと、B〜Cセグメントのハッチバック級の小回り性能を誇る。
そんな取り回しの良さから、Cクラスは都市部や住宅地でも扱いやすいプレミアムサルーンとして根強い人気を誇っている。190の時代から代々乗り継いでいるオーナーも多いと聞く。
とはいえメルセデス・ベンツというブランドそのもの魅力は何かといえば、それが「卓越したツアラー性能」であることに異論を挟む余地はないだろう。
圧倒的なスタビリティと、入り組んだ旧市街でもストレスを感じない取り回しの良さ、そして人間工学に基づいて作り出された運転環境による疲労の少なさ……これらもたらす優れたツアラー性能は、メルセデス・ベンツのヘビーユーザーならばご存知のはずだ。
そんなCクラスのツアラー性能を量るべく、「メルセデス・ベンツCクラスのすべて(3月26日発売)」の取材で東京から三重県の関宿および伊賀上野を目指す往復1000kmの旅に出た。インプレッションについてはそちらをご参照いただきたいが、当記事では、誌面では詳しく触れることのなかった燃費についてレポートしたい。
今回はテスト車両が2台で、取材スタッフはドライバーが2名(体重75kgと82kg)とカメラマンが1名(体重75kg)の計3名である。つまりどちらかの車両に人間がひとり多く乗ることになる。当初は約30kgのカメラ機材をカメラマンの乗らないほうの車両に積むことで差を少なくしようと考えたが、それでもどうしたって45kgほどの差は生じてしまう。それに、カメラマンが乗り換えるたびに荷物を積み替えなければならなくなってとても面倒だ。
結局は2台の車両に均等に機材を積み、乗員ひとり分の差はそれを明記すればいいではないかという妥協案(?)に落ち着いた。燃費計測だけが目的であればもっと厳密に計測するべきだったろうが、前述の通り「メルセデス・ベンツCクラスのすべて」のツーリング企画との同時取材だったので、なにとぞご理解いただきたい。2台の差を厳密に比較するものではないが、それぞれの状況下でのリアルな燃費として参考にはなるはずだ。
東京都新宿の編集部を出発し、初台南インターチェンジから首都高速に乗る。東名、新東名、伊勢湾岸、東名阪を経て亀山インターチェンジを目指す。
この区間、1.5Lのガソリンエンジンを搭載するC200には、体重75kgのドライバーAとカメラマンが乗車した。100km/h巡航時はよほど平坦な道が続かない限り9速に入らず、8速でのエンジン回転数は1750rpmである。ときおり9速に入るが、油断するとすぐに8速にシフトダウンされてしまう。そこでマニュアル操作で9速に固定すると1450rpmとなった。
一方、C220dステーションワゴンには体重82kgのドライバーBが乗車。100km/h巡航時のエンジン回転数は、8 速で1400rpm、9速で1200rpmだった。こちらはどんなにアクセルを穏やかに踏んでも100km/hでは9速にシフトアップせず、マニュアル操作で固定した。自動で9速に入ったのは新東名の制限速度120km/h区間でのみだった。
亀山インターチェンジまで385kmを走り、燃費はC200が16.0km/L、C220dステーションワゴンは18.8km/Lだった。JC08モード燃費はそれぞれ13.6km/Lと18.5km/L(AMGライン非装着モデルは18.9km/L)だから、それぞれカタログ燃費を上回ったことになる。
亀山インターチェンジから東海道屈指の宿場町である関宿へ向かい、しばし町中で撮影する。ドライバーとカメラマンの配車に変更はない。
自動車専門誌の撮影は燃費に厳しい。ちょっと動かしては停め、また動かしては停めの繰り返しで、燃費計の数字はみるみる悪化していく。走行シーンの撮影でも、カメラマンの指示に迅速に反応できるよう、低めのギヤに固定することが多い。
町中での撮影を終えると、今度は鈴鹿峠でワインディングロードを堪能する。今回のツーリング企画は、とくに燃費を意識した走りをせずに流れをリードする走りを続けているが、とりわけここ鈴鹿峠ではアクセルをしっかり踏み込んで新型エンジンのパフォーマンスを味わった。
その結果、C200は16.1km/Lと、なぜか高速道路とほぼ同じ燃費をマーク。一方のC220dステーションワゴンは12.3km/Lとなった。C200の好結果は謎だが、おそらく市街地とはいえ平日ゆえに交通量が少なく、低い速度で淡々と走ることが出来たからではないか? 一方のディーゼルは、やはり定説通り高速巡航の方が得意ということだろう。
鈴鹿峠からはそのまま一般道で伊賀上野へ。そこで投宿し、翌朝は上野城の周辺で撮影した後、名阪国道、東名阪、伊勢湾岸、新東名、東名を経て東京を目指す。配車は往路の組み合わせの逆で、C200にドライバーBひとり、C220dステーションワゴンにドライバーAとカメラマンが乗車した。
帰りの415kmの高速走行で、C200は往路とほぼ変わらない16.2km/hをマーク。一方のC220dステーションワゴンは、2名乗車にもかかわらず21.1km/Lを叩き出した。
全行程975km/hを走り終えての総合燃費は、C200が16.1km/L、C220dステーションワゴンが17.9km/Lとなった。
カタログ燃費の達成率は、C200が118%と見事に100%を超え、C220dステーションワゴンが97%と、ほぼ公表値通りの結果を記録した。
マイルドハイブリッドBSGを搭載するC200はステージを問わず良好な燃費をマークし、とりわけ一般道での落ち込みの少なさが顕著だった。一方のC220dステーションワゴンはディーゼルらしく高速道での伸びが印象的である。
購入後のクルマの使い方、頻繁に走るステージを念頭に置いて、ご自分に合ったパワートレインを選んでいただきたい。
メルセデス・ベンツC200 アバンギャルド
全長×全幅×全高:4690×1810×1425mm ホイールベース:2840mm 車両重量:1550kg エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1496cc ボア×ストローク:80.4×73.7mm 最高出力:135kW(184ps)/5800-6100rpm 最大トルク:280Nm/3000-4000rpm トランスミッション:9速AT フロントサスペンション形式:4リンク リヤサスペンション形式:マルチリンク 乗車定員:5名 タイヤサイズ:225/50R17 車両価格:560万円
メルセデス・ベンツC220d アバンギャルド AMGライン
全長×全幅×全高:4720×1810×1440mm ホイールベース:2840mm 車両重量:1750kg エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ 総排気量:1949cc ボア×ストローク:82.0×92.3mm 最高出力:143kW(194ps)/3800rpm 最大トルク:400Nm/1600-2800rpm トランスミッション:9速AT フロントサスペンション形式:4リンク リヤサスペンション形式:マルチリンク 乗車定員:5名 フロントタイヤサイズ:225/45R18 リヤタイヤサイズ:245/40R18 車両価格:611万円(AMGラインは+37万7000円)
モーターファン別冊「メルセデス・ベンツCクラスのすべて」3月26日発売
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