電気自動車の最大手・BYDの日本法人・ビーワイディージャパン(BYD-J)が、日本国内において初めて量産型小型電気バス「J6」の販売を決定した。

 今回のインパクトは「小型電気バス」というところである。BYD-Jはこの「J6」で、地方などで強く求められている地域住人の交通手段という需要を電動車両で満たしていきたいとする。




 BYD-Jはこれまでも、Eバスの販売と普及に努めてきた。日本市場において2015年の京都市の事業者が大型路線バスとして5台を導入し、日本で初めての事例となった。続いて2017年には那覇市の事業者が大型路線バスを10台、2018年には会津若松市の事業者が中型路線バスを3台導入、これは尾瀬国立公園における環境対応に寄与している。同じ2018年には先述の京都の事業者が、先に導入したEバスの好成績に満足し2台の大型路線バスを追加導入、また盛岡市の事業者も大型路線バス1台を導入した。本年に入ってからも、各地の事業者からの引き合いが多く、検討が多々なされている状況という。




 その中において、BYD-Jの今回の発表は小型Eバスというところに特徴がある。


 BYD-Jのプレゼンテーションによれば、65歳以上の家族がいる世帯のうち、医療機関まで1km以上ある世帯は23%を数え、これはこの統計を開始した10年間で68万世帯の増加だという。いっぽうでバス車両の2018年における新規登録台数は中古車比率が49%にのぼり、これらは地方における二次利用だと伝えられる。鉄道や路線バスの採算が合わなくなり、地域住人の公共交通が確保できないエリアにおいて、この「J6」を用いることで小回りのきく移動手段の実現とCO2排出量削減の一挙両得を狙う。



Eバス導入への課題をどう解決するか

 とはいうものの、Eバスの普及には大きく4つの課題がある。航続距離、充電時間、充電インフラ、そして価格だ。とくに価格については一般的なディーゼルエンジン搭載車に対して3倍とも言われており、採用への大きな障壁になっていた。




 今回のBYD「J6」はそれらの課題に対して解決を図る。価格については税抜1590万円という金額に抑えている。小型バスということもあるかと思うが、相当にインパクトのある数字だ。また、導入にあたっては国土交通省の補助金対象になることもあり、充電設備を含めさらに導入金額を抑えることも可能だ。なお、J6は先行して発売されている小型バス「K6」を日本仕様に仕立てたもの。K6では実現できていないローフロア構造を取り入れているのが特長だ。


 航続距離についてはフル充電から200kmを確保(乗車率65%、エアコン未使用)。これには車体の軽量化が大きく寄与した。BYD-Jの調べによれば路線バスについては150km/日の航続距離があれば充分まかなえるといい、つまりJ6ならば補充電なしで終日運行できるということだ。


 充電時間はおよそ3時間、バッテリー容量は105.6kWhとした。今回のJ6にあたってのバッテリー技術は従来製品を踏襲しているという。車両給電も可能としているので、災害時の電源車両としての役目を果たすこともできる。




 将来の展望としては、2020年に自動運転化、2021年にVtoHおよびVtoV、2022年にはVtoGridをねらう。

【車両概要】


車長×車幅×車高:6990 × 2060 × 3100mm


航続距離:最大200km


充電時間:3時間


バッテリー容量:105.6kWh


車両タイプ:都市型I(31人/1扉)、都市型II(29人/2扉)、郊外型(25人/1扉)


希望小売価格:1950万円(税抜)


販売目標台数:1000台(2020〜2024年)


納車開始:2020年春

情報提供元: MotorFan
記事名:「 BYD:小型電気バスを販売決定、日本初で2020年春から納車開始