NVIDIA は19日、自動運転車の開発、学習および検証の分野において、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)と新たに協業することを発表した。

 この協業は、NVIDIA DRIVE AGX Xavier車載コンピューターを活用する、トヨタ自動車との既存の関係を発展させたもので、NVIDIAと日本のTRI-AD、米国のToyota Research Institute (TRI) の3社による開発活動を元にしている。今回のパートナーシップに含まれる分野は以下の通り。




・NVIDIA GPUを活用したAIコンピューティング インフラストラクチャ


・NVIDIA DRIVE Constellationプラットフォームを活用したシミュレーション


・DRIVE AGX XavierあるいはDRIVE AGX Pegasusをベースにした、自動運転車を開発するための車載コンピューター




 今回の協業範囲には、複数の車両モデルおよびタイプに利用可能なアーキテクチャの開発、開発と生産期間の短縮、ならびに多様な道路状況下での数十億マイルの走行に匹敵する、安全向上のためのシミュレーションが含まれている。




 TRI-ADのCEOであるジェームス・カフナー (James Kuffner) 博士は、次のように述べている。「交通事故死傷者ゼロという究極の目標達成のため、自動運転車によって交通をよりスムーズにし、あらゆる人にモビリティを提供できるようにすることが、当社のビジョンです。NVIDIAとの技術協業は、このビジョンを実現するために重要です。ソフトウェアを検証し、テストするための大規模なシミュレーションは、自動運転システムに不可欠であると、当社は考えています」




 また、 NVIDIAの創業者/CEO のジェンスン フアン氏 (Jensen Huang) は次のように述べている。「日常生活ならびに数多くの業界で商業用途に利用できる自動運転車は、まもなく一般化します。移動のためのものすべてが、自律走行になるのです。このような自動車を大規模に生産するには、システムのすべての要素に関して緊密な協働が必要となります。 NVIDIAとTRI-AD、およびTRIとのパートナーシップは、そのような協業のモデルとなるものです」




 自動運転においては、運転中に遭遇しうる無限に近い状況を認識し、それらに対処する必要があるため、ディープラーニングを中心としたAI が次世代の自動運転車の開発に不可欠なツールとなっている。


 シミュレーションは、実際に路上を走らせる前の段階における、自動運転車向けのハードウェアおよびソフトウェアのテストと検証に有効なツール。今回、TRI-ADとTRIは、シミュレーションの一部としてNVIDIA DRIVE Constellationを活用する予定。




 DRIVE Constellationは、異なるふたつのサーバーで構成された、データセンターソリューション。ひとつめのサーバーであるConstellation Simulatorは、NVIDIA GPUで NVIDIA DRIVE Simソフトウェアを実行し、現実に限りなく近い仮想世界の中で、仮想化された自動車からセンサーデータを生成する。ふたつめのサーバーであるConstellation Vehicleは、シミュレーションで得られたセンサーデータを処理する。Constellation Vehicleの運転判断はConstellation Simulatorにフィードバックされ、それにもとづいて、ビット単位の精度を持ち、タイミングも正確な「ハードウェアインザループ」テストが実現されるようになる。




 このエンドツーエンドのシミュレーション ツールチェーンにより、トヨタ自動車、TRI-ADおよびTRIの自動運転車の開発を支援していく。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 NVIDIA とTRI-AD:より安全な自動運転の実現に向けて協業