TEXT●大家伝(OYA Den)
ŠKODA(シュコダ)とはチェコの自動車メーカーであり、1895年創業の歴史あるメーカーだ。1991年からはフォルクスワーゲングループに属し、2018年には125万台規模での出荷を実現。今回の電動2輪コンセプトの発表はシュコダが掲げる2025戦略の一環として、従来の自動車メーカーから「最高のモビリティソリューションを提供するSimply Clever企業」への転換を進めていることが背景にあるようだ。
さらに「マイクロモビリティの未来のビジョン」として、「俊敏な乗り物こそ人口の密集した都市部で日々の通勤をより容易にすると同時に重要性を増す」とも。そうした思想を踏まえ、「自動車に代わる持続可能な代替品を探していて、それが使いやすくて楽しく、そして従来の自転車よりも速くて便利であることを期待している若者たちのニーズを満たす」ために設計されたのだという。
そんなワケで注目度の高さが容易に想像できるシュコダの電動2輪コンセプトだが、そもそもシュコダは創業当初に自転車やオートバイの生産を行っている。そのため2輪開発という点ではお手の物と言えそうだ。
「KLEMENT(クレメント)」の注目ポイントはいくつもあるが、まずはハンドルポストからリヤタイヤに向けて伸びる極太のセンターチューブから見ていきたい。この未来的なアルミフレームに片側支持方式のフロントフォークを採用。リヤにも片側支持方式のスイングアームを採用するが、リヤ回りをホイールサスペンションと表現していることから画像では判断できないものの、なんらかのサスペンションを備えていると思われる。
しかも画像で見る限り、目に見えるレバーやケーブルは存在しない。実にインテリジェントな匂いがプンプンだ。そしていわゆるボトムブラケット付近に自転車のようなペダルはなく、フットボードとでも言いたくなるようなステップがあるだけ。灯火類もほとんど目立たない。
実際のライディングではライダーがペダル前方に体重をかければ加速し、後方に体重をかけることでリヤ側で回生ブレーキが作動。同時にフロント側のABS油圧ディスクブレーキも作動する仕組みだというので、まさに直感的に操作できる革新的なコントロール方法だといえるだろう。
ちなみに回生ブレーキによる発電〜充電する以外に、家庭用コンセントからの充電が可能。満充電の状態なら最大62kmもの距離を移動できるそう。そのために電気の消費を抑える仕組みとして、灯火類やインジケーターにLEDを積極採用。
さらに充電も可能なスマートフォンホルダーも装備。コーミングホーム機能、自動で起動される緊急電話、リモート診断およびメンテナンスなど、シュコダが提供するすべての接続ソリューションにリンクさせることも可能になる。
なお、当コンセプトの先にある製品版では約10kgの車重(現状で25kg)を目指しつつ、アシスタンスシステム、Function on Demand、特別なムースタイヤ(ランニングシューズでも使用される素材)など、多くの追加機能が含まれる可能性があるため、より快適で静かな乗り心地も実現を目指すのだという。