サスペンションはダンパー特性を伸び側、縮み側で調整可能で、スプリング長も調整可能だ。またリアサスペンションのダブルウイッシュボーンにはGT Rでもロワー側にピロボールジョイントを採用しているが、GT Rプロではアッパー側にも採用しているという。これらの変更によってさらにサーキット走行時のハンドリングを増した。
カーボン製パーツをふんだんに装着することにより軽量化している。そのほかブレーキにAMGカーボンセラミックブレーキを採用し、シートにもカーボンファイバー製フルバケット型を採用している。さらに鍛造のAMG5ツインスポークも軽量化にひと役買っている。
エクステリアをひと目見てわかる空力の改良は、フロントバンパー左右にカーボンファイバー製フリック(カナード)を設けたほか、フロントフェンダー上には最近流行のルーバーが備わる。後者はフロントタイヤ周辺に発生する揚力を抑えるためだ。GT Rよりも大型のリアディフューザーは左右に大きく拡がり、さらにダウンフォースを高めている。また、ガーニーフラップ付きリアウイングは調整可能でサーキットごとにセッティングを変えられる。ルーフはダブルバブルとすることで空力性能を追求した。
GT RプロにはAMGトラックペースというデータロガーがCOMANDオンラインインフォテイメントによって、標準で装備(欧州仕様)され、ベストラップからの遅れを表示するなどして、サーキット走行をより充実したものにしてくれる。また、トラックパッケージを選択すると4点式シートベルトや2kg消火器、ボルト止めのスチール製ロールケージが装備される。
AMG GT RプロはGT3やGT4レースに参戦するレーシングカーのノウハウを詰め込まれた、サーキット走行愛好家のための1台だ。価格は2900万円でノーマルのGT R(2382万円)よりも約500万円高い。装備内容は500万円ではすまないが、ベースから改造するか、つるしで買うか悩ましいところだ。