同じ時期に公表された第8弾のホワイトリストについて三菱UFJリサーチ&コンサルティングを取材したところ「寧徳時代新能源科技(CATL)、中信国安盟、桑頓新能源、恵州比亜迪電池(BYD)などが外れている」「この新リストに登録されていない電池メーカー製の2次電池を搭載したモデルも推薦車両目録には掲載されており、ホワイトリスト掲載企業からの電池採用が補助金支給の必須項目ではなくなっている」とのことだった。
さらに、第8弾ホワイトリストには韓国企業と中国側との電池合弁企業名が3社(サムスン/LG/SKイノベーション)掲載されていた。ただし市販NEVへの電池納入実績はまだない。韓国政府が執拗に門戸開放を迫ったためにリストだけ開放したのか。あるいは工信部から中汽協へと移管されたリストはもはや有名無実であり「勝手にどうぞ」が実態なのか──。
筆者は後者だと見る。いずれパナソニックやGSユアサといった日本の2次電池メーカー製電池が静かに日系自動車メーカーの中国現地製NEVに採用されるはずである。2020年には実現するだろう。日系各社はすでに確信を持って「待ち」の状態にあるように思う。
中国政府がNEV規制導入を正式に発表したのは2017年9月下旬だった。15年に導入の意向が示され16年9月と17年6月にそれぞれ試案が公表されていたが、17年9月になって「来年から導入」「ただし罰則規定は1年免除」と発表された。これとほぼ同時に「政府が認める電池製造メーカーから2次電池を購入したNEVでなければNEVクレジット対象にしない」とのお触れで最初の電池企業目録、第1弾のホワイトリストが発表されていた。
これに慌てたのは外資自動車メーカーにほかならない。中国の電池メーカーとの間でLi-Bについての取引がある海外自動車メーカーは極めて少なく、しかし取引を行なわなければNEVクレジットを消化できない。
日本では、メディアが「世界はEVの時代」「エンジンはもう古い」といった論調を展開していたところに電池規制の話が飛び込み「日本の自動車メーカーはどう対応するのか」を問う記事が多く書かれた。そしてVW(フォルクスワーゲン)やBMWなどドイツ勢が新興電池メーカーであるCATLからのLi-B調達を明らかにして以降は「欧州勢に先を越された日本」との論調が増えた。その裏側は分析していない。
中国の自動車市場が右肩上がりで推移していたのは18年6月までだった。7月以降はマイナスが続き、18年はおそらく前年比1%程度の減少で終わるものと思われる。18年12月が17年並みの306万台だと仮定して、通年では2848万台。中汽協の年初見通しは2998万台だったが、これを150万台ほど下回る可能性が高い。中国政府は「いずれ右肩上がりが終わって代替中心の水平飛行状態になる」ことを見越してNEV規制を打ち出していたが、昨年の自動車市場は想定外だろう。マイナス要因のひとつは米国との貿易摩擦である。