室屋は2017年の世界チャンピオンである。しかし2018年はリズムを崩して勝つことができなかった。その問題点を分析。対策して結果を出すことができたのである。
REPORT●後藤武(GOTO Takeshi)
ルール変更で大きく変わった戦術面
ゲート7が鬼門
室屋はフリープラクティス(公式練習)から調子が良かった。そして予選では見事にトップタイムをマーク。3ポイントをゲットする。しかし安心はできなかった。14人のタイムは拮抗していてー誰が勝ってもおかしくないような状態だ。
今回のレースで鬼門となったのはゲート7だった。コースのエンド、6ゲートから7ゲートで180度方向を変えなければならないのだが、その丁度真ん中に7ゲートがある。パイロット達はほとんど直角に機体を傾け、限界ギリギリのGをかけながら1/100秒でも早く旋回を終わらせようとする。ところがこの7ゲートを通るときは機体を水平にしなければならない。
室屋の出番は不利な一番手
ラウンド・オブ8で圧巻だったのはマーティン・ソンカのフライトだった。2018年の世界チャンピオン、ソンカは、マット・ホールと対戦。1周目で11Gを超えてしまい1秒のペナルティを受けてしまう。そこからグイグイと追い上げて遂にホールを下してしまう。
こうして決勝はニコラス・イワノフ、室屋、ソンカ、イケル・ギューリアンの戦いとなった。イワノフがエンジントラブルで棄権したため、最初に飛んだのは室屋だった。レッドブルエアレースは後から飛ぶ方が有利だ。前に飛んだパイロットのタイムを見て作戦を立てられるからである。
しかも決勝では風が180度向きを変え、ゲート7では背後から風が吹いたことで更に難易度が上がってしまった。ライン全体が風下に流されてしまう為、ゲート6から脱出するラインを少し風上側に修正しなければならない。そんな難しいコンディションにも関わらず、室屋のフライトは安定していた。危なげなくフライトを終え、53秒780を記録する。
【動画】Red Bull Air Race