TEXT●小林秀雄(KOBAYASHI Hideo)
初代モデルであるNA型ロードスターが誕生したのは、1989年の9月。当初はマツダの多チャンネル化戦略により生まれた「ユーノス」ブランドから発売され、車名もユーノス・ロードスターと呼ばれていた。エンジンは当時のファミリアにも採用されていた自然吸気の1.6L直列4気筒DOHCを搭載。トランスミッションは5速MTが組み合わせられた。
「人馬一体」のコンセプトのもと、四輪ダブルウィッシュボーン・サスペンション、車両重量940kg(ベース車)を実現した軽量ボディ、パワートレインの取り付け剛性を高めるPPF(パワープラントフレーム)、軽さにこだわった手動開閉式の幌などを採用。何よりも「走って気持ちいい」という感性を重視したクルマ造りが徹底され、そのDNAは現行モデルのND型に至るまで継承され続けた。
90年に4速ATが追加され、93年には1.8Lエンジン搭載車(NA8C)を発売。この時に車検証上の車名はマツダ・ロードスターとなり、同時に1.6L車のNA6CEは生産を終了した。98年に二代目のNB型にバトンタッチされるまでの間、複数の特別仕様車も発売され、それらは今なお中古車市場で高い人気を誇っている。
初代モデルのNA型の人気を引き継ぐ形で1998年1月に登場したのが、二代目のNB型ロードスターだ。見た目でもわかるNA型との違いは、まずリトラクタブルヘッドライトが固定式のマルチリフレクターヘッドライトに改められたこと。また、ソフトトップのリヤウインドウは、ビニール製からガラス製へと変更されている。
エンジンラインナップはNA型の途中から廃止されていた1.6Lが復活し、新たに可変吸気システムを搭載した1.8Lとの2本立てとなった。1.6L車(NB6C)には5速MT、1.8L車(NB8C)には6速MTが組み合わせられ、両者ともに4速ATも設定された。
シャシーは基本的にNA型から踏襲されているが、ボディに補強が加えられたほか、サスペンションのジオメトリーを変更。ロールセンターの最適化により、コントロール性能が高められている。
2000年9月、02年7月、03年9月の3度に渡ってマイナーチェンジを実施。最も大掛かりな仕様変更は00年9月の時で、フロントグリルの形状が変更されたほか、1.8Lエンジンの可変吸気がS-VT(可変バルブタイミング)に切り替えられている。03年10月にはクローズドボディのロードスタークーペを、同12月には1.8Lターボエンジンを搭載したロードスターターボを限定発売した。