マツダ・ロードスターが誕生したのは、バブル真っ盛りの1989年。今年は生誕30周年のアニバーサリー・イヤーであり、2月9日から一般公開されるシカゴ・オートショーでは3000台限定の30周年記念車が発表される。自動車を取り巻く環境が激変してきた30年間、オープン・2シーターという決して万人受けはしないパッケージングにも関わらず、四世代に渡る命脈を繋いできたことは奇跡としか言いようがない。あらためて、その偉大なる足跡を振り返っていこう。第一回目は、初代「NA」と二代目「NB」である。




TEXT●小林秀雄(KOBAYASHI Hideo)

初代「NA型」ユーノス・ロードスター(1989〜98年)

 初代モデルであるNA型ロードスターが誕生したのは、1989年の9月。当初はマツダの多チャンネル化戦略により生まれた「ユーノス」ブランドから発売され、車名もユーノス・ロードスターと呼ばれていた。エンジンは当時のファミリアにも採用されていた自然吸気の1.6L直列4気筒DOHCを搭載。トランスミッションは5速MTが組み合わせられた。

「人馬一体」のコンセプトのもと、四輪ダブルウィッシュボーン・サスペンション、車両重量940kg(ベース車)を実現した軽量ボディ、パワートレインの取り付け剛性を高めるPPF(パワープラントフレーム)、軽さにこだわった手動開閉式の幌などを採用。何よりも「走って気持ちいい」という感性を重視したクルマ造りが徹底され、そのDNAは現行モデルのND型に至るまで継承され続けた。



 90年に4速ATが追加され、93年には1.8Lエンジン搭載車(NA8C)を発売。この時に車検証上の車名はマツダ・ロードスターとなり、同時に1.6L車のNA6CEは生産を終了した。98年に二代目のNB型にバトンタッチされるまでの間、複数の特別仕様車も発売され、それらは今なお中古車市場で高い人気を誇っている。

二代目「NB型」マツダ・ロードスター(1998〜2005年)

 初代モデルのNA型の人気を引き継ぐ形で1998年1月に登場したのが、二代目のNB型ロードスターだ。見た目でもわかるNA型との違いは、まずリトラクタブルヘッドライトが固定式のマルチリフレクターヘッドライトに改められたこと。また、ソフトトップのリヤウインドウは、ビニール製からガラス製へと変更されている。

 エンジンラインナップはNA型の途中から廃止されていた1.6Lが復活し、新たに可変吸気システムを搭載した1.8Lとの2本立てとなった。1.6L車(NB6C)には5速MT、1.8L車(NB8C)には6速MTが組み合わせられ、両者ともに4速ATも設定された。

 シャシーは基本的にNA型から踏襲されているが、ボディに補強が加えられたほか、サスペンションのジオメトリーを変更。ロールセンターの最適化により、コントロール性能が高められている。

 2000年9月、02年7月、03年9月の3度に渡ってマイナーチェンジを実施。最も大掛かりな仕様変更は00年9月の時で、フロントグリルの形状が変更されたほか、1.8Lエンジンの可変吸気がS-VT(可変バルブタイミング)に切り替えられている。03年10月にはクローズドボディのロードスタークーペを、同12月には1.8Lターボエンジンを搭載したロードスターターボを限定発売した。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 マツダ・ロードスターの30年を振り返る Part 1〈初代「NA」&二代目「NB」編〉