二輪版は1990年に発売された。250ccの直列4気筒エンジンを搭載するツアラー的要素の強いロードスポーツで、最大の特徴は通常のタンクスペースにヘルメットの入るラゲッジコンパートメント、通称「メットインスペース」を設けていること。ガソリンタンクはシート下に移され、給油口はテールカウルにあった。派手さはなかったものの根強い人気を誇り、98年まで生産された。
一方の四輪版はトヨタRAV4のOEM供給モデルで、2020年の秋から欧州でデリバリーが始まるとされている。
「賭けごとをする者、麻薬の売人、売春の元締め」などの意味を持つ英語。なんだかクルマの名称には相応しくない凶悪な名前だが、日本人にはどこか危うい魅力を持つ者……のような響きを感じさせる?
二輪版は1968年に発売されたオフロードバイク「TS250」のペットネームとして使われたのが始まりとされているが、それ以前にも海外市場においてハスラーの名を冠されたモデルが存在していた。国内においてはTS250を皮切りに、50cc、80cc、90cc、125cc、185cc、200ccなどさまざまな排気量のオフロードバイクのペットネームとして採用され、2000年まで生産された。
四輪版は2014年に登場。SUVテイストを持つクロスオーバー軽自動車として現在も人気を博している。
二輪版はランディー、四輪版はランディと、音引きの有無が異なり、アルファベット表記も微妙に異なるが、少なくとも日本人にとって発音はほとんど同じであり、後に出た四輪版がかつての二輪版と混同されないようにあえて綴りを変えたと思われる。
2輪版は1976年にファミリーバイクとして登場し、ひとり乗りの50ccとふたり乗り可能な55ccがラインナップされた。Landieは主にフランス語圏の地名に多く見られる言葉だ。
四輪版は、軽バンのエブリィをベースに1.3Lエンジンを搭載し、ボンネットを延長して衝突安全性を高めたモデルとして1999年に登場した。当初は「エブリイ+(プラス)」を名乗ったが、2001年のマイナーチェンジで「エブリイ ランディ」に変更された。このLandyは、「土地、大地」を意味する「Land」をもとにした造語とされている。
2007年からは、日産セレナのOEMモデルとして「ランディ」の名で販売されている。
みなさんご存知、「刀」を意味する日本語を与えられた名車中の名車。ハンス・ムートの手による、まさに日本刀のようなキレ味バツグンのデザインを身に纏って1980年の西ドイツ(当時)のケルンショーにプロトタイプとして登場した。当時の注目度の高さは「ケルンの衝撃」との言葉で現在まで語り継がれている。
欧州での販売が開始は1981年で、日本では翌年に発売された。84年には750ccがフルモデルチェンジを受けてリトラクラタブルヘッドランプを与えられる。一方の1100ccはそのままのデザインで2000年まで販売された。1990年代には250ccや400cc版も発売されている。そして18年秋のケルンショーでは、GSX-S1000をベースにした新星カタナがベールを脱いだ。
そんなカタナだが、実は四輪版も存在していた。こちらも名車との誉れ高い「ジムニー」が、実はインドネシアにおいて「カタナ」の名称で販売されていたことがあるのだ。写真の二代目ジムニーの時代で、1980年代後半から90年代前半にかけてのことである。
ジムニーはほかにもサムライ、ブルート、カリビアンなど、マーケットによってさまざまなネーミングを与えられていた。
そして2019年5月には、スイフトスポーツにさまざまな専用装備を与えた30台の限定モデルがオランダで販売された。前年に復活した二輪版カタナの世界観を色濃く反映したモデルで、即完売となったようだ。
「山賊」を意味する英語で、映画「トランザム7000」で名優バート・レイノルズが演じた主役の名前としてもなじみ深い。
二輪版は1989年に新世代のネイキッドバイクとして250と400が登場した。その後、2007年にはロングツーリングも視野に入れた大型スポーツバイクとして1250ccの直列4気筒エンジンを搭載して登場。フルカウル版やハーフカウル版もラインナップされた。
四輪版はソリオにスポーティなエクステリアを与えた派生車種「ソリオ バンディット」として12年に登場。15年にモデルチェンジされ、現在もラインナップされている。
以上、二輪と四輪の両方に使われたネーミングは、2020年夏に四輪版が発表されたばかりのアクロスを含めて5種類だった。ホンダが13種類もあることを考えるとかなり少ないが、それでも同じネーミングが存在することそのものに驚きを感じる人も少なくないはずだ。ちなみに5種類すべてが先に二輪に採用されている。
二輪と四輪に同じネーミングを「使い回す」ことにネガティブな印象を抱く人も少なくないようだが、これもまた両方を手掛けているメーカーならではの歴史であり、それらも含めて話のネタにして楽しんでしまうのがファンのあるべき姿(?)かもしれない。