マグナシュタイヤーは、カナダに本拠を置くメガサプライヤー、マグナ・インターナショナルの完成車部門である。同社の技術力の高さは折り紙つきだ。単なる受託生産のみならず、クルマそのものの提案を自動車メーカーにすることもある。自動車メーカー側から見ると、よりニッチなモデルを大きなリスクを冒さずに生産、販売できるというメリットもある。
マグナシュタイヤーの名声を確固たるものにしているのは、まずはメルセデス・ベンツGクラスの生産だろう。名車Gクラスは、先代、新型ともにすべて同社のオーストリア・グラーツ工場で生産されている。先代Gクラスの生産工場を見せてもらったことがあるが、熟練工によってほぼ手作りで組み上げられていた。同時期にはプジョーRCZのグラーツ工場で生産されていた。
初代のX3、BMW MINIの派生モデル、現行の5シリーズなどマグナシュタイヤー製BMW車は数多い。現在、同社のグラーツ工場で生産しているのは、
メルセデス・ベンツGクラス
ジャガーEペイス/Iペイス
BMW 5シリーズ/Z4
トヨタ・スープラ、ということになる。
自動車メーカーが自社生産でなく外部で委託生産する理由のひとつは、自社で生産ラインを持つには、生産量が少ない(つまりスポーツカーのような少量生産の場合)モデルを、より低コストで造れるから、だが、もちろんそれだけではない。事実上、自社では造れないモデルを造ってもらう、という意味もある。今回のスープラでいえば、生産台数よりも、生産工程の方が重要だったのではないか。スープラのチャームポイントである豊かな面を持つリヤフェンダーまわりのプレスは、トヨタ、BMWのプレスラインでは難しい。
マグナシュタイヤーが、自動車メーカーが自社ブランドに求める高い品質を充分にクリアしてくれる生産車製造会社であることの証明が、Gクラスであり、スープラであり、Z4なのだ。新型スープラは、Made in JapanでもMade in Germanyでもなく、Made in Austria,Grazであることを知っておいてほしい。
新型スープラのデビューを総力取材。試乗インプレッション、多田CEの独占インタビュー、デザイナーインタビュー、チューニングカーのベースとしての実力は? など、新型スープラについて、いまわかることを網羅しています。