一方で車重はA110が1100kg、メガーヌR.S.が1480kgと圧倒的に前者が軽い。その結果、パワーウエイトレシオ(馬力あたり重量)はそれぞれ4.37kg/psと5.30kg/psとA110が断然優れている。
前述のパワーウエイトレシオ、そしてトラクションに有利なMR(ミッドエンジン・リヤホイールドライブ)のA110に対して、不利なFF(フロントエンジン・フロントホイールドライブ)のメガーヌR.S.という違いもあって、停止状態から100km/hに達するまでに要する時間はご覧のような結果になった。
また、トランスミッションはA100が7速DCT、メガーヌR.S.が6速DCTと、A110のほうが一段ギヤが多く、ギヤ比がクロス気味であることも加速性能に有利に働いている可能性が高い。
ちなみに最高速度は両者とも250km/h(リミッター作動)となっている。そこまでの到達時間についての公式データはないが、おそらく空力に優れるA110のほうが短いと思われる。
A110は前後ともにスポーツカーの王道であるダブルウィッシュボーンを採用するが、メガーヌR.S.はオーソドックスなストラット&トーションビーム形式だ。
だがメガーヌR.S.には「4コントロール」と呼ばれる四輪操舵システムが与えられている。これは60km/h(レースモード選択時には100km/h)までは後輪を最大2.7度までの逆位相として旋回性を向上させ、それ以上の速度域では最大1度までの同位相として安定性を引き上げるもの。
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激走1200km! 新型ルノー・メガーヌR.S.で燃費計測【Renault Megane R.S.】
専用設計のピュアスポーツであるA110と、量販モデルをベースに持つメガーヌR.S. では当然ながら価格も大きく異なる。
パフォーマンスだけを見れば、価格の違いほどの差はこの2台の間にはない。本稿は「インプレッション」を述べるものではないので最小限の表現に留めるが、サーキットや山坂道におけるメガーヌR.S.のパフォーマンスやドライビングプレジャーは相当なもの。
ただし直接比べてしまえば、やはりA110に軍配が上がるのは明らかだ。
言うまでもないがユーティリティに関しては完全に立場が逆転する。乗車定員はA110が2名であるのに対してメガーヌR.S.は5名で、ラゲッジスペースの広さは比べるまでもない。当然ながらA110は買い手を選ぶことになるわけで、ここがチョイスの大きなポイントになる人は多いだろう。ファミリーカーとしての用途も担うのならメガーヌR.S.一択だ。
冒頭にも記したとおり、本企画はどちらが買いであるかの結論を出すものではない。スポーツカーはオーナーになるであろうアナタの感性(と、予算……)で選ぶもの。だから得てして、他人のアドバイスやインプレッションは決め手にならなかったりする。どんなに評判が良くたって、デザインが気に入らなければそれまでだ。
だからこうしたスペック比較を、アナタの判断のためのせめてもの一助にしていただきたい。
まぁそれ以前に、こうして写真とスペックを並べて妄想するだけでも、クルマ選びって楽しいんですよねぇ。
アルピーヌ A110 ピュア
全長×全幅×全高:4205×1800×1250mm ホイールベース:2420mm 車両重量:1100kg エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー 総排気量:1798cc ボア×ストローク:79.7×90.1mm 最高出力:185kW(252ps)/6000rpm 最大トルク:320Nm/2000rpm トランスミッション:7速DCT 乗車定員:2名 フロントタイヤ:205/40R18 リヤタイヤ:235/40R18 ハンドル位置:右/左 車両価格:790〜811万円
ルノー・メガーヌR.S.
全長×全幅×全高:4410×1875×1435mm ホイールベース:2670mm 車両重量:1480kg エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー 総排気量:1798cc ボア×ストローク:79.7×90.1mm 最高出力:205kW(279ps)/6000rpm 最大トルク:390Nm/2400rpm トランスミッション:6速DCT 乗車定員:5名 タイヤサイズ:245/35R19 ハンドル位置:右 車両価格:440万円