ZFのセンサーセットにおいては、最新のカメラ、レーダー、LiDARおよび音響センサーおよびソフトウェアが物体の認識と識別を行い、ZF ProAI中央制御ユニットが車両制御を行う。また、極端な高温や振動など、自動車に搭載するにあたり要求される条件を満たすように設計されている。こうした先進のセンサーシステムは、NCAPなど将来の安全基準や消費者による安全性評価への対応にも重要な役割を果たす。
■ 高性能レーダー
ZFの高解像フルレンジ前方レーダーは、速度、距離、角度および高さを高精度で認識する。77ギガヘルツの周波数を使用するこの高性能ミリ波レーダーは、先進運転支援システム (ADAS) およびレベル3以上の自動運転用に開発された。他のレーダーシステムと同様、対象物に電波を当て、距離、角度、対象物の速度を測定するとともに、高さの正確な計測も可能で、周辺環境の3Dイメージをつくることができる。ZFの中距離レーダーと同様、悪天候や暗がりなど視界の悪い環境下でも機能し、様々なADAS機能をサポートする。
■ 新開発LiDAR
レーザー技術を活用したLiDAR(ライダー)センサーもレーダーと同様、ソフトウェアと組み合わされて車両周辺環境の正確な3Dイメージをつくる。あらゆる明るさのもとで複雑な交通状況を認識し、障害物と空きスペースを検知する。Ibeo社と共同開発中の新しい高解像ソリッドステートLiDARは、歩行者や小さな物体も3Dで認識することができる。この機能は自動運転のレベル3以上において重要な役割を果たす。ソリッドステート技術により、このZFの新しいセンサーはこれまでのLiDARよりも強固にできているとともに、その視野角やモジュール型の設計により、幅広い用途への使用が可能だ。
■ 車載カメラ
新開発のS-Cam4車載カメラは100度の視野角と、1.7メガピクセルのハイ・ダイナミックレンジ(HDR)イメージセンサーを持ち、特に都市内の歩行者や自転車の検知に高い能力を発揮する。このカメラはまた、縦・横方向の制御アルゴリズムによって、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC:定速走行・車間距離制御装置)や自動緊急ブレーキ(AEB)、車線保持アシスト(LKA)を含む多くの機能をサポートする。
小型のハウジングに収めることが可能な「外部カメラ・ヘッド」は車両の周辺環境認識をサポートし、映像をドライバーに提供するとともに物体の識別も可能。カメラを12ユニット組み合わせることで、車両の周辺360度をカバーするイメージをつくり出すことができる。解像度は1.2メガピクセルから8メガピクセル、視野角は28度から195度までのスペックが用意され、顧客のニーズに合わせた組み合わせが可能だ。
■ 安全性と快適性のための車内監視
ZFの3Dインテリアカメラは、乗員がこれまでよりも幅広い自由が得られる高度な自動運転車両に、新しい快適・安全機能を提供する。「ZF車内観測システム(IOS)」は乗員の大きさ、位置や姿勢に関する情報をリアルタイムで取得し、例えば事故発生時の衝撃を和らげるように乗員保護システムの作動を最適化することも可能にする。自動運転においてはドライバー・モニターも重要な役割を果たす。IOSは、運転者が両手をステアリングホイールに沿えているか、能動的にハンドル操作を行っているか、そして前方を見ているかなどをチェックすることもできる。
■ 音の認識
「Sound.AI(サウンドAI)」は「聞く」クルマを可能にする。接近する緊急車両の種類と方向の認識をサポートし、システム・ディスプレイに、「右側に寄せて停車」や「緊急車線に移動」といった重要な情報をドライバーに提供する。レベル4以上の完全自動運転車両はこの様な動きを自動で行うことができる。
「当社のセンサー性能を統合することで、通常は複数のサプライヤーに求められるニーズをZFだけで満たすことができます。天候や明るさの条件に関わらず、ZFの環境認識システムは高度に自動化された運転支援システムおよび自動運転システムの安全な運用に求められる正確さと冗長性を備えるよう設計されています」と、ゴレウスキー氏は述べている。ZFはまた、LiDAR、レーダー、カメラおよびSound.AIシステムから送られる膨大なデータをデジタル環境モデルに変換するために、現在の自動車業界で最もパワフルな車載コンピューター、ZF ProAI製品群も開発した。