毎秒600兆回(600テラOPS)までの計算が可能な演算能力をもつZF ProAI RoboThinkは、自動車向け中央制御ユニットとして最高の性能を有している。車内および車外センサーから得られた情報とcar-to-Xコミュニケーションおよびクラウドからのデータをリアルタイムで統合し、レベル4+の自動運転車両をいかなる交通環境下においても安全に作動させることができるだけの処理能力を持つことを前提に設計されている。大学のキャンパスや企業の構内などの閉鎖された敷地を越えて、将来、一般公道でも自律走行型の配車サービスを実現するためにはこうした性能が不可欠だ。
さらにZFは、新しいモビリティ・コンセプト用のソフトウェア・スタックも自社開発しCESで初公開する。このソフトウェアを最新のZF ProAIおよびセンサーセットと組み合わせることで、完全自律走行車両を実現する統合型システムを構築することができる。ZFのシステムを搭載した自律走行車両は、モビリティサービスに新規参入する企業も簡単に使用できる仕様
だ。
ZF ProAI RoboThinkはMaaS向けソリューションに不可欠な性能を有している。ProAIは、性能の異なる4つのモデルが選択できるとともに、ニーズに応じたコンフィギュレーションが可能。オープンで柔軟性と拡張性に富んだモジュール設計により、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせに縛られないシステム構築が可能だ。様々なチップセットの使用が可能であり、また異なるOSにも対応できるため、顧客のニーズにあわせたソフトウェアを作ることができる。こうした柔軟性と自動車向けの高品質によりZF ProAIは、現在自動車業界で入手することのできる最高レベルのAIと言える。
ZF ProAIの高い能力と柔軟性によって、ZFはNVIDIA DRIVE AutoPilot Level2+のローンチパートナーの一社に選ばれた。新しいモデルのProAIは今後12か月以内に量産が開始されるため、NVIDIAのローンチ・タイミングに合わせられる唯一の自動車向けAIとなる。シャイダーCEOは次のように述べている。「ZFが唯一、必要な性能を備えたスーパーコンピューターの量産が可能であるという事実は大きなアドバンテージです。オープンで柔軟性に富み、モジュール性と拡張性に優れたZF ProAI製品群は、多様な業界や自動運転機能の全レベル向けアプリケーションに対応できる構造を有しています」
ZFがドイツのベンチャー企業e.GO Mobile社と共同開発し、両社の合弁会社であるe.GO Moove社が販売するe.GO PeopleMover車両は、2019年の発売に向けて準備が進んでいる。初年度は、ドイツ国内で数万台規模を生産する予定だ。同車両は、世界中のモビリティ・プロバイダーや自治体が関心を寄せている。本日、CESで行われた記者会見において、ZFとe.GO Moove社は最初の顧客を発表した。世界各国で日々1,100万人の乗客を運んでいる国際的なモビリティ企業であるTransdev社と提携し、e.GO PeopleMoverを利用したMaaSビジネスを開発する。
Transdevノースアメリカ社のCEO兼オートノマス・トランスポーテーション・システム部門を統括するヤン・レリッシェ氏は以下のように述べてる。「一般向けの自動運転が最初に実現するのは公共交通機関だと信じています。ZFおよびe.GOとの提携は、自律走行車両によって当社のサービスをさらに強化し、顧客にベストなソリューションを提供する素晴らしいチャンスだと考えます」
次世代のモビリティ・ソリューションに向けたZFの統合システム・アプローチは、実際に走行可能な配車サービス (ride-haining) 用新型車両に搭載され、CESに展示されている。ステアリング・ホイールとペダル類がなく、先進のセンサーおよびコンピューター、コネクティビティ・ソリューション、アクチュエーター類と安全システムを装備した車両が「Ride Hailing powered by ZF」のコンセプトを具現化している。このパッケージは、ロボタクシーなどの新しい車両を開発している企業をターゲットとしている。
シャイダーCEOは次のように述べている。「Ride Hailingイノベーション車両やe.GO People‐Moverなどを通し、ZFは業界最高水準のテクノロジーを披露しています。これらのクルマに搭載されている当社の技術によって自動車業界が長足の進歩を遂げ、クリーンで安全な移動手段を個人や公共団体に安価で提供できる様になるということが、最も重要なのです」
現在最も能力の高い車載コンピューターであるZF ProAIと先進のセンサー類、およびZFクラウド・プラットフォームによって、ZFは次世代のモビリティを創っていく。