「いまご覧いただいた3台のクルマの事故は、皆さんが見たとおりに実際起こったものです。なぜ知っているかというと、私たちがその現場にいたからです。一連のセンサーとカメラを使い、信頼できる様々なデータを収集していたことから、昨年夏の事故で何が起こったかを再現することができました。
私たちのレクサスの実験車は、左車線をマニュアルモードで走行していて自動運転走行モードにはなっていませんでした。ただし、認識能力などはフルに作動している状態でした。
この実験車はサンフランシスコのベイエリアにおいて多くのトンネル、橋などで、マッピングと走行データの収集をしていました。激しい事故ではありましたがけが人が出なかったのは幸いでした。また、カリフォルニア・ハイウェイ・パトロール(警察)は私たちの車両とドライバーには過失がないと判断しています。
今回の事故のシーンを皆さまにお見せしたのは、事故発生時に使用していた私たちの技術に驚いていただくためではなく事故が起きたまさにその日に私たちが自問したことを、ここでお知らせしたいからです」
TRIのCEOで、トヨタのフェローでもあるギル・プラットは、続けた。
「事故のデータを実験車から取り出した際に、『将来のToyota Guardian(高度安全運転支援)システム(以下、ガーディアン)を組み合わせれば、今回の事故の被害はもっと小さくできたか、あるいは避けることが出来ただろうか』と自問しました。そしてその答えは、Yesだと考えます」
約3年前の設立当初、TRIは自動運転技術の開発をふたつのアプローチで行なうことを表明している。
ショーファー:あらゆる環境で完全に、もしくは限られた運行設計領域(operational design domain《ODD》)において、人間のドライバーを不要にする「ショーファー」。
ガーディアン:人間の能力を置き換えるのではなく増大させるという考え方で開発している、「ガーディアン」。「ガーディアン」は、人間のドライバーが常にクルマをコントロールする前提で、事故が起こりそう、もしくは実際に差し迫っている際に、ガーディアンがドライバーによる操作と協調させながら正確な回避に繋げるというものだ。