エンジン横置きは、英語だと「transverse mounted」と言う。または、「east-west engine」と言う場合もある。これは、クルマの進行方向を方角の「北」に見立てた場合、東西方向にエンジンが搭載されているからだ。
「クルマの前後中心線に対して直角方向にクランク中心線をもつようにエンジンを搭載する」と大車林には書いてある。
ちょっと難しいかもしれないが、エンジンルームを見れば一目瞭然だ。エンジンルームを車両前方から覗けば、エンジンは左右方向に搭載されていて、その両端に左右前輪がある。だから、それを駆動すれば(間にトランスミッションが挟まるが)いい。これがつまりFF(フロントエンジン・フロントドライブ)だ。
写真は、BMW320dのエンジンルームだ。これが縦置き。横置きと同じように説明すると、英語だと「longitudinal mounted」と言う。または、「north-south」と言う場合もある。これは、クルマの進行方向を方角の「北」に見立てた場合、北南方向にエンジンが搭載されているからだ。
「クルマの前後中心線に対して並行ににクランク中心線をもつようにエンジンを搭載する」と大車林には書いてある。
エンジンルームを車両前方から覗けば、エンジンは前後方向に搭載されていて、その延長線上には左右前輪ではなく、後輪がある。左右後輪に駆動力を伝えようとすれば、回転方向を90度変えなくてはならない。これがFR(フロントエンジン・リヤドライブ)だ。
となれば、エンジンが横置きのクルマは、いざというとき(雪など)、前輪にタイヤチェーンを巻けばよく、縦置きのクルマは後輪にタイヤチェーンを巻けばいいわけだ。そこが駆動輪だから。
ここでは、エンジンの縦/横置きでタイヤチェーンを巻くタイヤを見極めようというものだが、まずはタイヤチェーンは緊急用で、チェーンを巻いたからもう大丈夫、というものではないことを理解しておこう。あくまでも冬季はスタッドレスに履き替えるのがベスト。都会暮らしで、年に数回しか雪に遭遇しない人は、「オールシーズンタイヤ」という選択肢もある。
グッドイヤー・ベクター4シーズンズ 時ならぬ大雪、オールシーズンタイヤは対応できたか?
スタッドレス/オールシーズンタイヤを履いていてもなお、滑って脱出できない際に装着するのが、タイヤチェーンだと考えておこう。
スタッドレスタイヤも履いた。しかもクルマはAWD(四輪駆動)だ。となれば、よっぽどのことがない限り、普通の道路は走行できるはず。でも、世の中絶対ということはない。AWD+スタッドレスタイヤでも走行が困難になった場合、タイヤチェーンは前後輪どちらに履くべきか。
その時に、思い出してほしいのが、エンジンの搭載方法だ。
ボンネットを開けて
エンジンが横置きなら前輪
エンジンが縦置きなら後輪
と覚えておこう。
世の中絶対ということないと書いた通り、もちろん例外はある。
スバルのクルマ(FRのBRZは除く)は、ご覧の通り「エンジン縦置き」だ。水平対向エンジンを縦に置くシンメトリカル・レイアウトがスバルのウリ。エンジン縦置きでもスバル車は、前輪にチェーンを巻くのが正解だ。インプレッサもXVもフォレスターもレガシィもレヴォーグもスタッドレスタイヤで走行できなくなったときは、前輪にタイヤチェーンを巻いてほしい。
インプレッサの取説にも
「タイヤチェーンは、予測できない降雪や雪道に遭遇した場合などの非常用装備品です。タ イヤチェーンは、前輪に装着してください。後輪にはタイヤチェーンを装着しないでく ださい。 」
と書いてある。
例外はほかにもある。
アウディだ。A4以上のアウディは、エンジン縦置きレイアウトを採る。A1、A3、Q2、Q3などは、ベースがエンジン横置きのFFだから前輪にチェーンを付ければOK。A4以上は、エンジン縦置きだから後輪にチェーンを巻くのが正解?ではなく、こちらも前輪に巻くのが正解だ。アウディは、エンジンを縦置きするが、FFがベースとなっている。その証拠に、A4、A6には、FFモデルもラインアップしている(A8は全車フルタイムAWDだが)。
迷ったら、自分が乗っているクルマのエントリーグレードが、FFなのかFRなのか、で判断しよう。
トヨタ:センチュリー/クラウン/ハイラックス/ランドクルーザー/86以外は、前輪に
レクサス:LS/GS/IS/LC/RC/LX以外は、前輪に
日産:シーマ/フーガ/スカイライン/GT-R/フェアレディZ以外は、前輪に
ホンダ:NSX/S660以外は、前輪に
マツダ:ロードスター以外は、前輪に
スバル:BRZ以外は、前輪に
三菱:パジェロ以外は、前輪に
スズキ:ジムニー以外は、前輪に
ダイハツ:前輪に
ということだ。
雪道の運転はくれぐれもご注意を! ご安全に!