そのTC飛行試験に入るには、国から型式検査承認(TIA)をまず取得し、国が定めた設計要件を満たす必要がある。今回、三菱航空機がMRJのTIAを取得したということは、TC飛行試験を開始できるようになったことを意味している。
TIA取得にともない、三菱航空機は、業界で開発中の機体の中で唯一の一から設計されたリージョナルジェット機で、国産初のジェット旅客機であるMRJ90の型式証明飛行試験(TC飛行試験)を開始できるようになる。MRJは現在、米国ワシントン州のモーゼスレイク・フライトテスト・センターを拠点に飛行試験を実施しており、TC飛行試験は2019年の初頭に開始する予定だ。
三菱航空機の水谷久和社長は次のように述べている。
「弊社は常に国土交通省航空局の皆様と密接に連携しながら、MRJ90の型式証明取得に向けて明確なプロセスや手順、目標値を設定してまいりましたが、今般、飛行試験開始確認書を受領できたことを大変喜ばしく思います。ここまでの道のりは長いものでしたが、MRJの開発および日本の民間航空機産業にとっては不可欠なものだったと感じております」
三菱航空機 型式証明統括室長のアンドリュー・テレスカ(Andrew Telesca)によると、国内の民間航空機業界の特殊性から、本確認を取得するまでの道のりは他国と異なるものだったという。
テレスカ氏は次のように述べている。
「この種の開発プロジェクトはこれまで国内にほとんど前例がなかったことから、国土交通省航空局と三菱航空機の両チームは日夜協力してTC飛行試験に適合するシステムを一から創り上げました。今回の重要なマイルストーンの達成に向けてご尽力いただいた国土交通省航空局の皆様に心よりお礼申し上げるとともに、弊社チームの努力に感謝します。型式証明の取得までにはまだやるべきことが多く残されていますが、今回MRJの安全性と完成度が一定の評価を得たことを大変嬉しく思います。弊社は今後の重要な最終開発段階においても、引き続き国土交通省航空局の皆様と密接に協力してまいります」
三菱航空機は、今般のTIA取得に加え、米国でのTC飛行試験開始の許可書となるLetter of Authorization(LOA)を取得するため、米国連邦航空局(FAA)による安全性評価も受けている。