REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro)
「スポーツ志向の幅広いライダーにおすすめ」
ドライ路はワインディングに近い路面ミューとレイアウトということもあり、一般ユースに近い環境でのテストだったと思う。ということで、ストリートにおけるスポーツタイヤとしては一歩先に進んだタイヤと言えよう。けっして難しいタイヤではないので、スポーツ志向の幅広いライダーにおすすめできる。
試乗会が行われたのは栃木県にあるブリヂストンの専用テストコース。広大な敷地の中に高速周回路やワインディングを模したドライ路、雨天を再現したウェット路など様々なシチュエーションが設定され、タイヤの性能を総合的に評価できるようになっているのが特徴だ。
最初のテストは1周4kmの高速周回路。乗り始めから路面とのコンタクトが豊富で1周目から安心してペースを上げられた。ひと昔前のタイヤでは考えられないことだが、特に冷間時のグリップ感が印象的だった。微粒径シリカはウェットでの親和性が高いということだったが、ドライでも初期グリップに効いている。ガチっとした剛性感というよりは、ソフトタッチの中にしっかりとした手応えを感じる。直線ではしっかり安定してるのにちょっと入力を与えるとスパっと倒れ込んでいく応答性の良さ、これがS22の真骨頂だと思った。リッターSSクラスだとストレートで250km/hオーバー、高速バンクでも160km/hを楽に超えるが、その領域でのまったく不安のない安定感が素晴らしい。
ウェット路ではS21との違いがはっきりと分かった。比較のためにまずS21を試したが、路面コンタクトが薄めでペースを上げていくと滑るまではいかないが、そろそろ限界が近い感じがしてそれ以上は無理できない。これに対しS22は走り始めから接地感が豊富で知らぬ間にペースが上がっていく。ブレーキングでの前輪の接地感、そしてコーナー立ち上がりでの後輪のトラクションも豊富で、かなりのヘビーウェットでもマシンを前に進めてくれる。センターから中間バンク付近の最もウェットで使うゾーンのコンパウンドとグルーブも最適化されているため、その領域を使っている限りは大丈夫という実感が持てた。
ドライ路でのS22の性能は際立っていた。テスト車はCBR1000RRとニンジャ650、そしてYZF-R1だったが、まずR1がとびきり良かった。これはマシンとの相性かもしれないが、非常にハンドリングが軽くコントローラブルでそれでいて路面と接地感も豊富。旋回も安定していた。ダンピング特性も優れていて、スポーツタイヤとしては抜群に乗り心地が良い。それはギャップ乗り越えなどでもすぐに分かった。起伏のあるコースだったが、常に安心感があるので切り返しでも思い切っていけるし、実際のところフルバンクにもっていくまでの過程でもS21と比べて安心感が高かった。S21と構造はあまり変わっていないため、コンパウンドの改良による部分が大きいのでは。一方でゴムは柔らかめなので、S22のほうが若干摩耗は早そうに思えた。
雨のコーナリングを想定し「S21」対比でショルダー部の溝/ブロック比率を向上。パターン剛性を最適化することでウェット性能と軽快性の向上を両立した。また、幅広い温度で機能する新設計のコンパウンドやウェット性能を高める微粒径シリカを新採用。バンク時の接地面も最適化されている。