REPORT●浜先秀彰(HAMASAKI Hideaki)
2000年代初めのカーナビ市場は百花繚乱といえるほどで、上級指向の華やかなモデルが数多く揃っていた。各メーカーともフラッグシップ機にはコストのかかるオリジナル技術を惜しみなく投入しており、30万円オーバーのプライスも珍しくなかった。
2003年に登場したイクリプスの「AVN9903HD(当時価格:35万5000円)」は当時のシリーズ最上級機。2DINサイズボディ(横幅180mm×高さ100mm)に格納式の7型VGAモニターを搭載し、独自の「デュアルフェイス」を実現。このデュアルフェイスではモニターの使用時には「ナビフェイス」、格納時には「オーディオフェイス」となり、どちらの場合でも大きなボタンサイズを確保。特にオーディオフェイスではロータリボリュームや液晶表示なども搭載され、一般的なカーオーディオ同様の使い勝手を生み出していた。
また、記憶メディアには20GB・HDDを2基搭載した贅沢な設計。ナビとオーディオで独立したHDDを使用することで互いの干渉を防いで高速アクセスを達成しているという。機能面ではIKONOS衛星画像の表示やCDからHDDへの3000曲の録音、本格サラウンドが楽しめるDVD5.1chデコーダーの内蔵などを備え、ナビ機能、エンタメ機能ともに業界トップレベルの充実度を誇っていた。
このほか同社のラインアップには2DINサイズのAV一体型ボディにETC車載器を内蔵したモデル、「AVN3303D(当時価格:22万1000円)もあった。