REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
写真では見ていたが実車を目前にすると久々に大きなインパクトを感じた。強烈なスタイリングとでも言おうか、明らかにデザインセンスは時代を乗り越える先進性がある。少なくともソフテイルファミリーの中で飛び抜けて斬新。ゆっくりと眺めながら周囲を一周し、高さ720mmというシートに腰をおろすと何故かハリウッドのSF映画に登場していた近未来バイクが頭に浮かび、自分がスクリーンの中に飛び込んだような錯覚にとらわれてしまうから不思議だ。
どちらかと言うと保守路線で各バリエーションを充実してきたハーレーダビッドソンのブランドの中ではかなり異色。むしろストリートロッド系に所属する方が相応しいのではないかとさえ思えた。ソフテイルの中では明らかに異端の最新モデルだ。搭載エンジンは歴代Vツインの第9世代となるミルウォーキーエイト114。念のため補足しておくと114はエンジン排気量を示す数値でキュービックインチのこと。立方センチメートルに換算すると1868ccになる。もちろん伝統の横置き空冷V型2気筒でその挟み角は45度。ボア・ストロークは102×114.3mmというロングストロークタイプ。クランクケース右側のシングルカムから長いプッシュロッドとロッカーアームを介して4バルブを駆動するOHV方式だ。
付随パーツもド迫力なデザインを徹底。前方に向けた大胆なエアククープをイメージさせるエアクリーナーは先端に剥き出しのエレメントが付く。16.7L容量の燃料タンクも新設計。そして軽量アルミキャストスイングアームの採用にも驚きを隠せない。
太く長い2本のエキゾーストパイプを1本にまとめた黒いマフラーデザインやシングルシートに割り切ったテールカウル。そして何と言っても黒いディッシュホイールにマッチされた240/40R-18インチサイズの極太リヤタイヤがいかにもFXDRのダイナミズムを象徴している。ゼロ発進加速を競うドラッグレーサーをモチーフにした新型なのである。わかりやすく言うとヤマハVMAXやカワサキのエリミネーターと同じカテゴリーに新規参入した野心作なのだ。
●エンジン
エンジン Milwaukee-Eight® 114
ボア 102 mm
ストローク 114 mm
排気量 1,868 cc
圧縮比 10.5:1
フューエルシステム インジェクション(Electric Sequential Port Fuel Injection)
エキゾースト 2-1、マフラー内触媒
●ディメンション
全長 2,425 mm
シート高 720 mm
最低地上高 140 mm
レイク(度) 34
トレール 120 mm
ホイールベース 1,735 mm
フロントタイヤ 120/70ZR-19 60W
リアタイヤ 240/40R-18 79V
燃料容量 16.7 l
オイルタンク容量 4.7 l
出荷時重量 289 kg
車両重量 303 kg
●パフォーマンス
エンジントルクテスト方法 EC 134/2014
エンジントルク 160 Nm
エンジントルク(RPM) 3,500
リーンアングル、右(度) 32.6
リーンアングル、左(度) 32.8
●ドライブトレイン
プライマリードライブ チェーン式、ギア比:34/46
ギアレシオ(全体)1ST 9.311
ギアレシオ(全体)2ND 6.454
ギアレシオ(全体)3RD 4.793
ギアレシオ(全体)4TH 3.882
ギアレシオ(全体)5TH 3.307
ギアレシオ(全体)6TH 2.79
●シャシー
フロントタイプ グロス/サテンブラック、5スポーク、レーザー彫りグラフィックス入りエースキャストアルミ
バックタイプ グロス/サテンブラック、ソリッドディスク、レーザー彫りグラフィックス入りエースキャストアルミ
ブレーキ、キャリパータイプ フロント固定4ピストン、リアフローティング2ピストン
●電気
ライト、インジケーターランプ ハイビーム、ターンシグナル、ニュートラルランプ、油圧警告灯、エンジンチェックランプ、ABS、バッテリー警告灯、燃料警告灯
ゲージ 5インチアナログスピードメーター、デジタルギア、オドメーター、フューエルレベル、時計、トリップメーター、航続可能距離、タコメーター表示