TEXT●鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)
フォレスターの受注が好調だ。9月13日時点で受注は1万3282台と発表があった。これは月間販売台数2500台の5倍という数字だ。受注台数のうちe-BOXER搭載グレードの「Advance」が約4割を占めている。
今回、公道試乗会で初めてe-BOXERを公道でドライブできた。というのも新型フォレスターは6月20日発表で2.5L搭載グレードは7月19日発売だったが、e-BOXER搭載グレードの「Advance」だけは9月14日と発売。いうことは、5300台分の新フォレスターe-BOXERの発注者は、ディーラーで試乗することなく注文したということだ。スバルに対する、あるいはフォレスターに対する信頼の高さが窺える。
先代のフォレスターには、2.0ℓBOXERターボ搭載モデルの設定があったが、新型は2.5ℓ自然吸気BOXERと2.0ℓ+モーターアシストのe-BOXERの2種類のパワートレーンを用意した。2.5ℓモデルに関しては、当サイトで多角的に紹介している。今回は、e-BOXERモデルに試乗した。
試乗コースは、神奈川県川崎市の川崎マリエン(港です)からパシフィコ横浜まで、混んだ市街地とほどほど混雑した首都高速道路をドライブした。コースを設定したスバルの意図は明らかで、e-BOXERのメリットを体感できるコースというわけだ。
エンジン
FB20型水平対向4気筒DOHC
排気量:1995cc
ボア×ストローク:84.0×90.0mm
圧縮比:12.5
最高出力:145ps(107kW)6000rpm
最大トルク:188Nm/4000rpm
燃料タンク容量:48ℓ
モーター:10kW/65Nm
e-BOXER搭載のAdvanceグレードに乗る。モーターのパワースペックは10kW/65Nmと大きくはない。しかし、アクセルに載せた脚に少しだけ力を込めた際に、確実にクルマを押してくれている感じがするのだ。市街地のストップ&ゴーでは、このレスポンスの良さが心地よい。
2.5ℓのフォレスターは、乗るとその大らかさが気持ちよい。このまま500マイル走って遠くへ行きたくなる。これに対してe-BOXERは、クルマのサイズが少しコンパクトになって動きが精密になった感じがする。40-60km/hからの緩加速でモーターアシストが威力を発揮してくれるのだ。
とはいえ本音を言えばもう少しだけモーター出力が大きければ、もっと体感できるシーンも増えるだろうし、燃費の取り分もあるのではないか、とも思う。先代XVハイブリッドから使っているMA型モーターをキャリーオーバーした事情を考えれば仕方ないし、車種毎に違うモーターを使うのも難しいことはわかる。e-BOXERによる車重増は約110kg。110kg増に対するモーター出力はもう少しほしいところだ。
燃費はどうか?
WLTCモード燃費:14.0km/ℓ(13.2km/ℓ)
WLTC市街地モード:11.2km/ℓ(9.6km/ℓ)
WLTC郊外モード:14.2km/ℓ(14.6km/ℓ)
WLTC高速道路モード:16.0km/ℓ(16.4km/ℓ)
(カッコ内)は、2.5ℓモデルの数値。
e-BOXERが燃費で2.5ℓモデルに明確に勝るのは市街地モードのみだ。やはり2.5ℓとe-BOXERでは使うシチュエーションが違うのだ。フォレスターがほしいとなったら、自分の日常の運転状況を考えてパワートレーンを選べばいい。ちなみに、私が選ぶならe-BOXERだ。圧倒的に都内を走っていることが多いから。
ちなみに、スバルのエンジニアに伺うと、燃費に関しては、WLTCモードを見てもらうのが一番わかりやすい、とのことだった。
参考までに100km/h巡航時のエンジン回転数を伺うと
2.5ℓ:1500rpm
e-BOXER:1567/1581rpm(タイヤ径で違う)
となる。
トランスミッションのレシオカバレッジは同じ(3.600~0.512)で、最終減速比がe-BOXERが3.900なのに対して2.5ℓモデルは3.700だからだ。
スバル側はe-BOXERは3割程度と予想していたそうだ。4割というのは予想以上にe-BOXERに対する期待が高いことを意味する。初期需要が一巡して、このe-BOXER比率がどう変化するか。また、XVにもe-BOXER搭載モデルが追加されたことを考えても、スバルの全ラインアップにe-BOXERが拡大するのは時間の問題だろう。より車重の軽いモデルに積んだときのe-BOXERがどうなのかも興味深いところだ。